現在、60歳を定年とする会社が多いものの、法改正により、65歳、さらには70歳まで希望すれば同じ会社で働き続けられる環境が整いつつあります。定年と共に引退するか、それとも会社員を続けるか……どちらにするかは人それぞれですが、「将来手にする年金」を考えると、会社員として働き続けることに大きなメリットがあります。みていきましょう。
年金月16万円だが…「60歳定年後も会社員を続けます!」大卒サラリーマン、70歳で手にする驚愕の年金月額 (※写真はイメージです/PIXTA)

平均的な大卒サラリーマン…定年後も会社員続行で手にする年金月額

定年後、65歳まで会社員として働くと、単純に加入月数が60ヵ月増えます。そこに平均標準報酬額も加味すると、厚生年金部分は12.6万円となり、国民年金と合わせると月18.2万円ほどになります。

 

さらに70歳まで会社員として働くと、60歳の時と比べて加入月数は120ヵ月増えます。そこに平均標準報酬額も加味すると、厚生年金部分は14.1万円となり、国民年金と合わせると月19.7万円ほど。60歳完全引退と比べて単純計算、月に3万円ほど年金が増えるわけですから大きな差がです。

 

また2022年4月に年金制度が改正されたことで、定年後も働き続けることのメリットがさらに拡大しました。

 

まずは在職老齢年金制度の見直し。これまでは賃金と年金月額の合計額が、60~64歳で28万円を超えると、年金の全部または一部が支給停止に、65歳以上では47万円を超えると、47万円を超えた額の1/2の年金額が支給停止となっていました。しかし改正により、60歳~64歳でも上限が47万円となり、それを超えない限り、年金額の一部または、全額の支給停止はなくなりました。

 

さらに年金額が早く反映されるようになったことも、大きなメリットのひとつ。70歳まで働き続けた場合、それまでは70歳到達時に年金額が改訂されていました。それが「在職定時改定」が導入され、65歳以降も厚生年金に加入している場合、毎年10月に年金額を改定して年金額に反映されるようになったのです。

 

つまり、定年後の働き方の幅が広がっているように、年金のもらい方についても選択の幅が広がったといえるでしょう。老後のマネープランは人それぞれ。自分に合った働き方、年金のもらい方はどのようなスタイルか……じっくりと検討することが、安心の老後につながります。