年金は差し押さえ禁止だが…
もし、家賃滞納状態になったら、どうなるのでしょうか。最終的には強制退去となりますが、一般的な流れは以下の通り。
■催促
家賃の支払いが遅れたり期日に引き落とされなかった場合、管理会社や大家から、家賃支払いの確認が入ります。
■督促/連帯保証人への連絡
「未払い分の督促」と「賃貸契約解除の通知」が内容証明郵便で届きます。それでも支払いがない場合、同様の内容が連帯保証人の元に送付されます。
■明け渡し/強体退去
督促、連帯保証人への連絡でも支払いがない場合、管理会社や大家は賃貸物件の明け渡し裁判が行われます。そこで原告側が勝訴となると、執行官により強制退去が行われます。
また低年金でも預貯金などがある場合、悪質な家賃滞納者として財産の差し押さえが行われる場合もあります。家賃滞納者に対して財産の差し押さえが行われるには「債務名義があること」「財産調査が済んでいること」「裁判所の許可が出ていること」といった条件をクリアする必要がありますが、クリアさえすれば問答無用です。
財産の差し押さえは、現役の人であれば「給料の差し押さえ」ということも。一方、公的年金は、憲法第25条「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」により保障されているため差し押さえ禁止財産。「確定給付企業年金」「確定拠出年金」「厚生年金基金」「国民年金基金」といった私的年金も差し押さえ禁止となっています。また「66万円までの現金」「衣服、寝具などの生活用品」「1ヵ月間分の食料や燃料」「仕事に最低限必要な器具等」「仏像や位牌」も差し押さえ禁止財産です。
「年金は差し押さえられないから安心」と油断するのは、まだ早計。年金が振り込まれている銀行口座は、差し押さえの対象。差し押さえが禁止されているのは「年金を受け取る権利」ですが、口座にある年金は禁止対象ではありません。
そんな仰天展開に「年金を差し押さえられては生活が成り立たない!」という人もいるでしょう。その場合、口座を差し押さえ禁止にする「差押禁止債権の範囲の変更の申立て」を行うことができます。そこまで社会は無慈悲ではありません。
どちらにせよ、家賃滞納となると面倒なことになるということ、単身高齢者の場合は家賃滞納リスクも高くなるということは事実。おひとり様で賃貸暮らしがみえているなら、そのリスクを見据えて事前に対策を講じることが必須といえるでしょう。