厚生年金受給額の平均は14万円、65歳男性だけだと17万円になります。ただ本当に知りたいのは、今の平均値ではなく、実際に自身が手にできるだろう年金額。これから20年ほど後の年金額について、考えていきます。
平均月17万円だが…40代大卒サラリーマンが悶絶する、20年後にもらえる「少なすぎる年金額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金額のシミュレーション…将来、本当にその年金額を手にできるのか?

65歳まで平均的な給与を手にできたら、月20万円弱の年金が受給できる……ちょっとホッとした人も多いかもしれません。しかし年金制度に関しては、国民年金保険料の納付を5年延長することが検討されていたりと、先行きは少々厳しい印象を受けます。

 

もちろん、よくいわれる「年金破綻」という極端なことはないでしょう。ただ現行制度に当てはめた年金額は、どうも無理そう……そんな予測ができるでしょう。

 

そもそも公的年金制度は長期的なものなので、「社会・経済の変化を踏まえ、適切な年金数理に基づいて、長期的な年金財政の健全性を定期的に検証することは、公的年金の財政運営にとって不可欠なもの」とされています。そこで少なくとも5年ごとに財政検証を実施しています。これは公的年金財政の定期健康診断に当たるもので、人口や経済の状況を反映した、長期にわたる財政収支の見通しです。

 

最新のものは2019年のものですが、そのなかで、2045年ごろ、所得代替率を50%程度にキープするような複数のシミュレーションがされています。所得代替率とは、年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(賞与込み)と比較してどのくらいの割合かを示す数値。現在の所得代替率は61.7%なので、50%近くまで下がったとすると、およそ2割ほど、年金受給額は目減りする計算となります。

 

つまり、いま40代の人たちの年金受給が始まる20年後くらいには、年金受給額2割減が現実的だということ。先ほどの計算からすると、大卒正社員、65歳まで働いて月15.6万円、非正社員で月10.7万円ほどになるということ。一気に老後の雲行きが怪しくなりました。

 

年金がゼロになる、ということはおそらくないでしょう。しかし現行のように年金を手にできる保証はまったくありません。そこで求められるのは自助努力。岸田総理は「資産所得倍増」を掲げていますが、これは国からの「国は大変なので、ある程度、老後は自分たちで責任を持ってください」というメッセージだといえるでしょう。