離婚が決定したあと、大きく5つのことについて取り決めなければなりません。特に2人の間に子どもがいる場合、気になるのが「養育費」です。世田谷用賀法律事務所の代表、弁護士の水谷江利氏が解説します。
私立の学費、塾代、留学費…どこまで「養育費」に入るのか?【弁護士が「離婚のお金」を解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

親権、養育費、財産分与、面会交流…取り決めの際に注意すべきこと

①子の親権

子どもの父と母のどちらを親権者とするかというもの。親権をもつほうが子を監護することが中心ですが、まれに親権と監護権とを分けることがあります。監護権とはまさに子どもの実際の面倒をみることができる権利ですが、親権は、子どもの預貯金の出し入れをしたり、パスポートの発行申請、受領をしたりという子どもの代理権を含み、また子どもの居所指定権を含みすので、進学先など居場所を決める権利でもあります。

  

②養育費

離婚後の子どもの費用。日本では、離婚後、配偶者については扶養義務はなくなりますので、子だけに対する月々の費用であることになります。養育費については家庭裁判所の算定表(令和元年12月発表。従前の水準から値上がりしました)がありますので、双方の前年度年収を基準にこの表(あるいは表のもとになった算式)で決めることになります。

 

③財産分与

結婚時、あるいは同居開始時から離婚時、あるいは別居時までに増えた夫婦共有財産を半分ずつにするもの。夫婦共有財産とは、夫婦がそれぞれ稼いで得た財産のことをいいますから、婚前から持っている財産や、親族から贈与や相続を受けた財産は分与の対象になりません。

 

④面会交流

離れて暮らす方の親(非監護親)が子どもたちに会うルールを決めることです。一番ソフトな論点ですが、一番議論になりやすい点でもあります。

 

⑤年金分割

婚姻期間中の「厚生年金部分」を分けるものです。いわゆる社会保険上の扶養に入っている3号被扶養者は、平成19年以降の分については、離婚後に年金事務所に行けば、当然に分けてもらうことができます。平成19年より前の部分を分けてほしいという場合や、扶養にこそ入っていないが厚生年金額にアンバランスがあるという場合に分けようとする時は、分割の合意をする必要があります(合意管轄)。