子を持つ家庭では「我が家の収支状況で子を私立中学に通わせられるのか?」と考えることもあるでしょう。本記事では、FPオフィスライフ&キャリアデザイン代表の山内真由美氏のもとへ相談に来た世帯年収1,000万円の家庭の事例をもとに、どのような収支状況なら安心して中学から私立を選択できるのか、解説します。
40代の共働き夫婦…世帯年収1,000万円で「子ども2人とも中学受験」は厳しいですか?【FPの回答】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「公立中学」と「私立中学」における学費の違い

まだ志望校はないとのことでしたので、公立中学と私立中学で一般的な金額で確認します。文部科学省「子供の学習費調査」より、中学生の年間学習費(学校および学校外合計)で公立は約50万円、私立は約140万円です。これを月額で換算すると、公立約4万円、私立約12万円、公立との差は年間で90万円、月では8万円です。

 

また私立中学受験には塾費用と受験料も考慮が必要です。中学受験塾の月謝は一般的に学年が上がるごとに通塾回数が増え、月謝が上昇します。仮に小学4年生で月謝が4万円、5年生5万円、6年生6万円、講習・模試は別途請求とすると、ピークとなる6年生では年間100万円は必要です。

 

現状、年間貯蓄は100万円できており、姉ひとりだけなら、公立から私立へ進路変更しても「当面の資金繰り」はなんとかなりそうです。ただし2歳差の弟も姉と同じように中学から私立となると、姉の私立中学在籍期間と弟の通塾費用および私立中学在籍期間が重なるため、現状の家計のままではかなり厳しいと予想されます。

 

子を私立中学に通わせる「親の年収」の違い

次に「私立中学に通う生徒の世帯収入」も参考にしてみましょう。文部科学省「子供の学習費調査」によると、世帯年収1,000万円は平均的な水準です。最大のボリュームゾーンは1,200万円以上の35.5%、この家庭が属する1,000万円から1,999万円は16.8%。1,000万円以上の世帯で半数を超えます。さらに800から999万円の19.8%も含めると7割を超え、年収でみると私立中学に通わせるには最低でも800万円以上が必要といえそうです。

 

一方、800万円以下の世帯も3割ほど在籍しています。厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、児童のいる世帯の平均児童数は1.69人。児童がいる家庭における子供がひとりの世帯の割合は46.8%、2人は39.7%、3人以上は13.5%です。子供はひとりだけという家庭が増えており、孫にあたる子がひとりであれば、祖父母4人からの教育資金援助もある程度の金額が期待できます。

 

世帯年収1,000万円のご相談者が、私立中学に姉弟ともに通わせるには、祖父母からの援助やもっと収入を増やすなどの対策なしでは、住宅ローンを抱えているため実現は難しい状況です。