4例目の「生活保護減額」の違法判決が出て、生活保護に対する賛否両論が巻き起こっています。渦中にいる生活保護受給者の暮らしぶりとは……みていきましょう。
手取りたったの9万円「生活保護でも、残金2,000円…」貧困・母子家庭、苦しすぎる惨状 (※写真はイメージです/PIXTA)

生活保護受給者…全国で200万人強

——生活保護減額は違法

 

生活保護費の引き下げの取り消しや損害賠償を求め、全国29の地裁で起きている訴訟。生存権を保障する憲法に違反すると、大阪、熊本、東京に続き、横浜で処分を取り消しました。

 

しっかりとした事実認定で、画期的かつ影響力のある判決だとされる一方で、判決に対して異を唱える声も少なくありません。その背景にあるのは、まずは生活保護の不正受給。在日外国人に対する生活保護についても、議論は収まる気配はありません。また生活保護を受けている人が発信するSNSをみて、「生活保護を受けていない自分たちの生活のほうが酷い!」「生活保護を受けて贅沢するな!」などと批判されることも。

 

厚生労働省『被保護者調査』によると、2022年7月時点、生活保護を受けている人は164万2,399世帯、202万3,635人。扶助の種類別にみていくと、「生活扶助」が174万8,782人、「住宅扶助」が173万0,218人、「教育扶助」が8万6,926人、「介護扶助」が42万0,370人、「医療扶助」が170万2,702人、「その他の扶助」が3万8,434人となっています。

 

世帯の種別にみていくと、「高齢者世帯」が91万0,730世帯、「母子世帯」が6万7,399世帯、「障害者・傷病者世帯」が40万4,857世帯。また「単身世帯」が136万6,906世帯で、そのうち「高齢者世帯」が84万1,124世帯となっています。

 

さらに保護受給者の大半が、老人、病人など何らかのハンディを有しており、労働能力を持っていないために経済的自立を望めないような人々によって占められている「非稼働世帯」は139万7,463世帯。働くことができる人のいる「稼働世帯」23万6,918世帯のうち、世帯主が常用で働いているのは20万6,318世帯、日雇いが1万9,676世帯。世帯主以外が働いているのが3万0,600世帯です。

 

都道府県別にみていくと、保護率(被保護実人員(1ヵ月平均)÷各年10月1日現在総 務省推計人口(総人口)×1,000)が最も高いのは「沖縄県」で2.24%。一方で最も保護率が低いのは「富山県」で0.26%。平均賃金や世帯形態などによって、地域差が生じていると考えられます。