タワマンに泥棒なんて入らないでしょ…住民の隙をつく窃盗犯
高いセキュリティが魅力のひとつであるタワーマンション。ではタワーマンションなら犯罪に巻き込まれる危険性はゼロかといえば、そうではありません。
たとえば、窃盗、住居侵入被害。警察庁『令和3年の刑法犯に関する統計資料』で共同住宅における「空き巣(留守時に侵入)」「居空き(在宅時に侵入)」「忍び込み(就寝時に侵入)」の認知件数をみていくと、階数が多いほど認知件数は低くなる傾向にありますが、階数が高いからといって窃盗被害がゼロにはなりません。侵入手段は「無施錠」が最多。また侵入経路は最多が「表出入口」。堂々と表から侵入というケースが多いようです。
【共同住宅における「空き巣」「忍込み」「居空き」認知件数】
空き巣:「3階以下」2,541件/1,175件/1,067件、「4階以上」1,226件/432件/791件
忍込み:「3階以下」385件/312件/222件、「4階以上」169件/126件/109件
居空き:「3階以下」139件/104件/65件、「4階以上」98件/78件/81件
出所:警察庁『令和3年の刑法犯に関する統計資料』
※数値左より、認知件数/新入手段が「無締り」の件数/侵入口が「表出入口」の件数
——うちのタワマンはセキュリティが高く、入居者じゃなければ表から入るなんてムリ
そのように余裕でいるタワマン住民も多いでしょう。高層階になるほど「こんなところまで来れないだろう」という意識から、「普段から玄関の鍵をかけない」「ベランダの鍵は開けっ放し」という割合が増えるといいます。しかし窃盗犯は驚くべき手段で侵入を試みます。
高層階を狙う窃盗犯の手口としてよくあるのが、「屋上からベランダにロープを垂らして侵入」「雨樋や排水管などを登って高層階のベランダへとよじ登り侵入」といったもの。10階を超えるマンションでも被害が報告されています。また「ベランダを懸垂のようにして登り上層階に侵入」というケースも。こちらも10階以上のマンションが狙われたケースがあります。また鍵番号などを盗み見して合鍵をつくり、100件以上の空き巣を繰り返したという事例も。合鍵が作られてしまえば、防ぎようがありません。
また規模の大きなタワーマンションになれば、住民か不審者かの見分けは難しくなります。一度侵入を許せば、タワーマンションのほうが大胆な犯行を行えるといえそうです。
——東京都目黒区のタワーマンションで宅配業者を装って侵入し、現金600万円を窃盗
——大阪府北区のタワーマンションで、2億7,000万円の窃盗被害
——東京都豊島区のタワーマンションで強盗致傷事件、現金100万円が奪われる
——神奈川県横浜市のタワーマンションにロープを使い最上階に侵入。現金3,500万円等盗まれる
タワーマンションの住民が巻き込まれる犯罪は、数こそ少ないですが、ゼロではありません。「タワマンだから大丈夫」と住民の防犯意識は高いとはいえず、希薄なコミュニティも犯罪を助長させます。せっかく手に入れたタワマンライフが、最悪の結果とならないよう、防犯対策に努めたいものです。