一般的に眺望が最大のウリだと考えられているタワーマンション。しかし購入者に聞いてみると、眺望以上に魅力に感じたことがあったといいます。しかしその魅力によって、想像だにしなかった事態に巻き込まれるケースも。みていきましょう。
ロープを使い最上階から侵入も…「タワマンで現金を盗まれる事件」が多発 (※写真はイメージです/PIXTA)

なぜタワーマンションを買ったのか? 購入者が「眺望」以上に魅力を感じたもの

不動産経済研究所によると、8月首都圏(一都三県)の新築マンション1戸当たりの平均価格は6,102万円で、昨年同時期と比べて1,350万円、18.1%下落しました。

 

近年、不動産価格は上昇の一途を辿っていましたから「いよいよ買い時がきた」、というわけではなく、昨年と比べて高額のタワーマンションの発売が少なかったことが要因です。高さ60m、階数20階以上の高層マンションの俗称であるタワーマンションは、周辺相場よりも2~3割ほど価格が高くなるといわれており、今回の結果、新築マンションの平均販売価格を大きく左右するほどの存在であることが改めて浮き彫りになりました。

 

見た目にも存在感が強いこともあり、何かとやっかみの対象になりやすいタワーマンション。その価格から購入できるのは富裕層に限られていましたが、最近は、低金利なども後押しして、一般層にも拡大しているとか。

 

とはいえ、誰でも手を出せる価格ではありません。住宅購入時に融資の判断基準のひとつとなる年収倍率は、4倍前後が適正とされ、頭金は物件価格の1割程度とされています。仮に1億円の東京都心のタワーマンションの購入を検討しようとすると、単純計算、世帯年収は2,250万円程度。夫婦共働きで同程度の給与だとしても、年収1,000万円超えの会社員であることが前提となります。好立地・東京都心となると、やはりタワーマンションが買えるのは、一部の高所得者層に限られるといえそうです。

 

そんなタワーマンションは「眺望」が最大の魅力だと思われがちですが、実際の購入動機はどのようなものなのでしょうか。

 

東京・新宿が2019年に行った『タワーマンション実態調査』によると、購入動機で最も多いのが「交通利便性」。1990年代まではタワーマンションは建設に制限があり、敷地に余裕のあるロケーションでなければ実現できませんでした。そのため、交通の便に難あり、という物件も多かったのですが、規制緩和により、交通至便な都心に次々に誕生。その波は郊外や地方都市へと波及していきましたが、たいてい、拠点となる駅前の再開発とセットで語られることが多く、「タワマン=交通至便」というイメージが定着しました。

 

また「眺望」を上回った理由が「防犯面」。多重オートロックシステムに、多数の防犯カメラ、コンシェルジュなど有人管理システムのあるタワーマンションも。「住んでいて安心」は、眺望以上の魅力となっているようです。

 

【タワーマンションを選んだ動機】

交通の利便性:64.5%

防犯面で安心:57.4%

眺望が良い:47.5%

耐震性:37.7%

コンシェルジュ等サービスの充実度:34.7%

プライバシー性:26.3%

パブリックスペースの充実度:25.0%

間取りが良い:23.1%

虫が少ない:19.7%

ステータス性が強い:15.3%

 

出所:新宿区『新宿区タワーマンション実態調査報告書(令和元年度)』より