住宅ローン返済時は、経済環境の少しの変化で家計が崩壊してしまう「破綻予備軍」になりがち。そうならないためにも「収入を増やすこと」が重要です。本記事ではさまざまある「収入を増やす方法」のうち「投資」の有効性について考えていきます。
 住宅ローンで陥る「破綻予備軍」…優先すべき対応策は「投資」ではない理由【住宅専門FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

副業で実際いくら稼げている?

株式会社パーソル研究所による調査によると、副業での収入の平均は月6.82万円です。 あくまでも平均値であり中央値ではないのですが、想像以上に多いという印象です。約7万円は住宅ローンの毎月の返済額の半分以上であると考えると、その金額の多さに驚きます。

 

 ちなみにどのような副業に就いているのでしょうか。 弊社の相談者で副業をしている人たちを調べてみると、YouTubeでの広告収入、ブログなどでのアフィリエイト、宅配、不動産投資、時給でのアルバイト、営業代行、せどり、スキル販売(デザイナー、プログラミングなど)、オンラインサロン、物販、コンサルティングなどが挙げられます。農業など家業の手伝いもあります。 時間の制約と体力面の問題を考慮すると、ウェブ上で活動できるものが多い印象です。

 

副業で得た収入の有効的な使い道

副業で稼いだものを生活費で使ってしまったらあまり意味がありません。その副収入の使い方をよく考えてみましょう。 年間200万円稼げる副業を15年間継続したら、金利ゼロでも3000万円を貯められる計算になります。いま40歳の会社員であれば、資産運用をしなくても55歳の時点で3000万円の試算を持つことが出来るということです。

 

しかし、もっと有効な使い方はないでしょうか。 住宅ローンを借りている人は、一部繰上げ返済に利用するのはどうでしょうか。繰り上げ返済によって節約できた利息も、れっきとした「利益」であり「資産運用」です。

 

あるいは、毎年200万円の半分を投資に回し、残り半分を現金での貯蓄にしてもいいかもしれません。さほどの運用成績がなくても少しでも増えれば十分でしょう。現金での貯蓄も多く持つことで家計のキャッシュフローが安定します。現金によって万が一のときの生活費が確保されているので、精神的な安心も得ることが出来ます。急な出費にも余裕で対応できます。

 

副業によって生み出した収入を投資と貯蓄に回すことが出来れば、家計は将来にわたって劇的に変化します。

家計のキャッシュフローからみた「積立投資の弱点」

資産運用だけで15年後に3000万円の資産を形成する計算をしてみると、毎月10万円を年利6.5%で積み立てると15年で約3000万円になります。こういう計算は迫力があり、魅力的に感じる人も多いかもしれません。

 

しかし毎月10万円ものお金を投資に支出すれば、キャッシュフローは悪化します。いますぐ使える貯蓄が少なく、車検代や屋根外壁のメンテナンス費を支払うのも困難になるでしょう。自動車の買い替えもローンを利用せざるを得なくなり、高い利息を払うことにもなります。 ましてや世帯年収が低いのであれば住宅ローンを返済しながら毎月10万円を投資に回すのは現実的ではありませんし、わずか15年で6.5%もの運用成績を前提にしていいのか疑問です。

 

現在の収入から毎月数万円を投資に回しても、家計が苦しくなるだけで大きな資産を形成するのは難しいでしょう。 資産運用するためにはそもそも投資に回せるだけの収入をあらたに確保する必要があります。それを副業で実現すると考えてみたらいかがでしょうか。