ライター業はいくら稼ぐことができるのでしょうか? 52歳の誕生日を目前にリストラで失業し、売れっ子ライターへと転身を遂げたしげぞう(地蔵重樹)氏の著書『人生を変える! 50歳からのライター入門』(時事通信社)より、報酬額の基礎知識を解説します。
【ライター入門】Web記事はいくら稼げる?「文字単価」について知っておきたいこと (※写真はイメージです/PIXTA)

ライターの報酬はどうやって決まる?

Webライティングの報酬は「1記事あたりいくら」というカウント方法が主流です。たとえば「事業承継でM&Aを選ぶメリットについて、1記事2000〜2500字を8000円でお願いします」といった報酬額の示され方です。

 

印刷媒体の場合は、雑誌や専門誌、広報誌などは「1ページあたりいくら」というカウント方法が主流です。たとえば「弊社広報誌の導入事例インタビュー記事4ページを、1ページあたり1万円でお願いします」といった報酬額の示され方になります。

「稼げる案件」を選ぶには?仕事を報酬額で比較するときの注意点

クラウドソーシングなどで仕事を検討する際、似たような難易度の仕事同士であれば、報酬額で比較したいところです。

 

たとえば、①仕事Aは1記事2000字で8000円、②仕事Bは1記事4000字で1万円だとしましょう。すぐには報酬額の高低がわかりませんが、1字あたりの報酬額を割り出して比較する方法があります。これが「文字単価」です。この例でいえば、仕事Aは「8000円÷2000字=文字単価4円」、仕事Bは「1万円÷4000字=文字単価2.5円」となります。したがって、単純に比較すれば仕事Aのほうが報酬額が高いと判断できます。

 

それでは仕事Aのほうがより好条件なのかというと、必ずしもそうではなく、時と場合によります。たとえば仕事Aがスポット(単発)で1回限りの案件であれば、この仕事では総額で8000円しか稼げません。一方、仕事Bが月に4回発注されるリピート案件であれば、この仕事を受注することで月に4万円稼ぐことができます。

 

ですから、どちらの仕事が良いかは、そのときの仕事の混み具合や、目標としている月あたりの売上金額にもよるわけです。

 

また、文字単価の高い仕事の場合は、分野やテーマにも注意が必要です

 

たとえば同じ文字数で仕事Cは1万5000円、仕事Dは8000円であれば、つい仕事Cを選んでしまいたくなります。ところが仕事Cのテーマが「ESG投資の世界的潮流について」、仕事Dのテーマが「テレワークで注意すべきマナー」だったらどうでしょう。もしあなたが経済系を苦手としているにもかかわらず仕事Cを受注してしまうと、予想外に時間がかかり、納品に耐える品質の記事を書き上げられないかもしれません。この場合は、無理をして文字単価の高い仕事を選ばないほうが結果的には効率良く稼げるといえます。

 

文字単価はあくまで同じ内容の仕事同士を比較する際の目安だということを覚えておいてください。

文字単価の目安はいくら?

受注している仕事の文字単価が上がってきたら、今度は時間単価、つまり「時給」に換算してみるといいでしょう。

 

出所:しげぞう(地蔵重樹)著『人生を変える! 50歳からのライター入門』(時事通信社)より
仕事を報酬額で比較するときの注意点 出所:しげぞう(地蔵重樹)著『人生を変える! 50歳からのライター入門』(時事通信社)より

 

また、文字単価が高くなってきたら、前よりも稼げるようになった感覚を持ちます。たとえば、1記事2000字で3000円の仕事なら文字単価1.5円で、0.5円の3倍にもなります。ところがテーマが難しくて1記事を仕上げるのに7時間もかかっていれば、時給428.5円と下がってしまいます。しかしながら、経験を積むにつれて受注の基準とする文字単価を上げていく意識を持ちましょう。

 

あくまで私個人の肌感覚ですが、目安にしたい文字単価は「初心者0.5〜1円」「中級者1〜3円」「上級者3〜30円」といったところでしょうか。

 

 

しげぞう(地蔵 重樹)

1962年生まれ。フリーランスライター。ビジネス書のブックライティングを中心に、広報誌や業界誌などの印刷媒体から、企業のオウンドメディアやWebマガジンなどのWeb媒体で執筆活動を行っている。会社員時代、勤務先の経営不振による減俸を補うために副業でライティングをはじめ、リストラが行われた際にフリーランスライターとして独立。

著書に『1日1時間から稼ぐ 副業ライターのはじめ方(第3版)』(自由国民社)、『月10万円も夢じゃない! Webを活用して副業ライターで稼ぐ』(秀和システム)、『駅猫Diary』(洋泉社)がある。