ライターとして稼ぐ近道は「書く速度」を上げること
ライターが収入を増やすには、ライティングだけでなく編集やディレクションの仕事も請け負ったり、企画や構成に携わるなど、付加価値のある業務を取り入れる方法、あるいはイラストを描いたり写真撮影を行うなど業務範囲を広げる方法があります。ここでは、純粋にライティングの売上を増やす方法を考えてみましょう。
収入を増やすためにすぐに思いつくのは、「速く/たくさん書く」ことです。記事単価が変わらないのであれば、速く/たくさん書くことで収入を増やすことができます。1日に5000円の記事を1本しか書けなかった人が2本書けるようになれば、1日に倍の1万円を稼げるようになります。このとき、もしも1ヵ月で20日間コンスタントに仕事を得ることができていれば、1ヵ月の売上は10万円から20万円に倍増することになります。
「速く書くコツ」は量をこなせば自然と身につく
それでは、どうしたら速く書けるようになるのでしょうか。
書きやすそうなテーマを選べば確かに速く書けるようになりますが、そういう記事は記事単価も低くなってしまう傾向にあります。やはり、同じ難易度の記事をたくさん書けるようにならなければ収入は増やせません。
Twitterでライター初心者や駆け出しを名乗られている方たちの多くが、記事が速く書けない、なかなか書き出せない、うまくまとまらないなどと呟いているのを見かけます。この方たちの多くが気づいていないであろうことは、ワープロソフトを起動しても、文章がすらすら湧き出てくることなど、一部のテーマでしか起こらないということです。
記事を速く書くコツは、量をこなしていくなかで自然に身につきます。
私も1500円の経済記事を書いていた駆け出しの頃に、効率良く調査して効率良く書き上げる自分なりのコツに気づきました。最初の頃は調査だけで丸一日かかっていたような記事でも、2〜3時間で調査して1時間で書き上げることができるようになったのです。
具体的にどのようなコツなのか、見ていきましょう。
速く書くコツ①書き出す前に素材を集める
書く速度を上げるために必要なことは、書き出す前に素材を集めることです。体験談であれば素材は自分の頭のなかにありますが、それ以外の記事を書く場合には、まず素材を集めておかなければ書き出せるはずがありません。
素材を集めることを「取材」といいます。インタビューをしたり現地に駆けつけたりすることだけでなく、新聞を調べたり、ネット上の情報に当たったりすることも含みます。取材もしていないのに記事を書こうとしても、記事の素材がないわけですから、いくらワープロを立ち上げてみても、文章は浮かんできません。
速く書くコツ②記事の構成を先に決めておく
もうひとつ大切なのは、記事の構成を先に決めておくことです(アウトラインを決めておくともいいます)。集めた素材をどんな順に編集すれば最も伝わるのかを先に考えておくのです。構成を決めておかなければ、書いている途中で「次に何を書くんだっけ?」とか「最後はどうなるんだっけ?」などと進むべき道を見失ってしまい、迷ってしまうことで目標にたどり着けなくなり、時間ばかりがかかってしまいます。
たとえば1000〜2000字程度の短文であれば、思いつくままにでも書き上げることができるかもしれません。しかし3000〜7000字となれば、素材と構成案を用意しておかなければ、書き上げるまでに時間がかかってしまい、おそらく途中でネタ切れとなってしまうでしょう。さらに、なんとか文字数を稼いで書き上げても、いったい何が言いたいのかわからない、あるいは内容が薄い記事になってしまいます。
料理番組で料理人が手早く料理を仕上げられるのは、素材や調味料、段取りが決まっているからです。書くのが遅い人は素材集めと構成作りに時間を割いてみましょう。
しげぞう(地蔵 重樹)
1962年生まれ。フリーランスライター。ビジネス書のブックライティングを中心に、広報誌や業界誌などの印刷媒体から、企業のオウンドメディアやWebマガジンなどのWeb媒体で執筆活動を行っている。会社員時代、勤務先の経営不振による減俸を補うために副業でライティングをはじめ、リストラが行われた際にフリーランスライターとして独立。
著書に『1日1時間から稼ぐ 副業ライターのはじめ方(第3版)』(自由国民社)、『月10万円も夢じゃない! Webを活用して副業ライターで稼ぐ』(秀和システム)、『駅猫Diary』(洋泉社)がある。