自分を安売りしない。原稿料は「依頼主の予算の上限」で応募しよう
クラウドソーシングで仕事を探していると、「予算は3万円以内」や「原稿料は1万〜3万円を想定しています」など、原稿料が明確ではない場合があります。
私の場合、このようなときは必ず予算の上限で応募します。たとえば「予算は3万円以内」と書かれていれば、躊躇なく希望報酬額を3万円にして応募します。それは、せっかく予算として用意されているのであれば、全額をありがたくいただこうということと、自分から値切るほどいい加減な仕事はしませんよ、というアピールです。
このように予算の上限で応募することはやっぱり正解だと実感したのは、実際に自分自身が募集する側に回ったときでした。
私は電子書籍の原稿作成や音源からの文字起こしを、クラウドソーシングを使って外注することがあります。その際に私は、お支払いする報酬額を明確にして募集します。良い人に応募してほしいので、いつも相場より少しだけ高めにしているのです。
ところが、自ら値下げして応募される人が案外と多い。私はこのことに驚かされました。私は自ら値下げしてくる応募者はすぐに候補から除外してしまいます。せっかく相場よりも高めの金額で募集しているのに自ら値下げしてくる応募者は、自分の仕事に自信がなく、端から価格競争に逃げているのではないかと思えるためです。
なかには、「自分はまだ初心者(あるいは駆け出し)なので、この金額で勉強させていただきます!」というようなことをコメントしてくる人がいます。これではまるで、あなたの仕事を練習台に使わせてください、しかもお金もいただきます、と宣言しているようなものです。どんな納品物が上がってくるか不安になります。
一方、指定の金額や予算額の上限で応募してくる人は、「自分は良質な仕事をするので、これくらいはいただかないと割に合いません」と言っているように感じられるので安心できるのです。みなさんもクラウドソーシングで応募する際には、自ら安売りしないようにしましょう。
応募動機で「ネガティブな言葉」は使わない
「初心者なので」や「駆け出しなので」と同様に、募集者が発注を避ける言葉があります。それは、ネガティブな心情が感じられる言葉です。
応募の動機を示す文中に、「現在の会社で働き続けることに限界を感じて」や「サラリーマンという働き方に将来の不安を感じて」、あるいは「失業中なのですが、再就職が困難ななか、頑張ります」などと、募集者にはまったく関係のない事情を吐露する応募者がいます。応募者自身は、「このような状況だから精一杯頑張ります!」と熱意を伝えたいのかもしれませんが、募集者から見れば、「こういう人はこちらの仕事でも不満や不安を持って、途中で投げ出してしまうのではないだろうか」とかえって不安になってしまいます。
まだ実績がない初心者が熱意を伝えたいときは、「徹底した調査でエビデンスのある原稿を作成します」「念入りな推敲を行い、完成度の高い原稿を作成します」などと前向きな言葉を選んだほうが信頼されます。
実績のない「駆け出しライター」は何をアピールすればいい?
特に、まだ実績がないうちに実績のある応募者たちと張り合うためには、熱意のほかに(応募した分野が)得意分野であることや実体験が活かせること、勉強中の分野であることなどのアピールが重要になります。
たとえば、シェアオフィスとコワーキングスペースの比較記事の仕事に対して、「私は現在もシェアオフィスやコワーキングスペースを利用していますので、実体験に基づいて書けます」などとアピールします。あるいは、家計に関する記事の仕事に対して、「現在FPの資格取得に向けて勉強中ですので、資産運用も含めた提案ができる記事を書けます」といったアピールでも有効でしょう。
なお、応募時の提案文やプロフィール文は何度も推敲しましょう。ここで誤字脱字があると、「この人、大丈夫かな?」と募集者から不安を持たれてしまいます。
しげぞう(地蔵 重樹)
1962年生まれ。フリーランスライター。ビジネス書のブックライティングを中心に、広報誌や業界誌などの印刷媒体から、企業のオウンドメディアやWebマガジンなどのWeb媒体で執筆活動を行っている。会社員時代、勤務先の経営不振による減俸を補うために副業でライティングをはじめ、リストラが行われた際にフリーランスライターとして独立。
著書に『1日1時間から稼ぐ 副業ライターのはじめ方(第3版)』(自由国民社)、『月10万円も夢じゃない! Webを活用して副業ライターで稼ぐ』(秀和システム)、『駅猫Diary』(洋泉社)がある。