必死に働き、リタイアしたら悠々自適な年金生活(足りない分は貯蓄を取り崩さないといけないけど)。多くがそんな老後を過ごしている日本ですが、今日、どうやって生きていけばいいのか、生活苦に陥る高齢者も。なかなには、最悪ともいえる決断をしてしまうケースも珍しくないようです。みていきましょう。
平均月14万円だが「あんなに働いて、年金はこれだけ…」貧困・おひとり様高齢者が選ぶ「最悪の決断」 (※写真はイメージです/PIXTA)

元会社員の2割強が「年金10万円以下」…これでどう生きろというのか

平均的な消費支出は13万7,210円。それに対して、年金はどれくらいもらえているのでしょうか。厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金受給者の平均受取額(国民年金+厚生年金)は14万6,145円。厚生年金について65歳以上・男女別にみていくと、男性平均17万0,391円は、女性平均は10万9,205円。平均的な元サラリーマンであれば、毎月の収支は黒字になりそうです。

 

ただこれはあくまでも平均。平均以下の水準しか年金を手にしていない人は当然います。厚生年金の受取額の分布をみていくと、年金「月14万円以下」は48.0%。「月10万円以下」となると23.6%。5人に1人という水準。さらに「月5万円未満」となると、2.9%。35人に1人といった水準で、意外と多いという印象ではないでしょうか。

 

もちろん、どれだけのお金が必要かは人それぞれ。年金月10万円未満でも、持家であれば、余裕はないにしろ暮らしていけそうです。しかし賃貸であれば、東京なら家賃だけで半分はなくなり、毎月が赤字……そんな生活が生きている限り続くと考えると、ゾッとします。

 

もう7年も前になりますが、新幹線で70代の高齢男性が焼身自殺を遂げた事件がありました。逃げ遅れた女性1人が巻き添えになるという、本当に痛ましいものでしたが、このとき、男性は月12万円の年金を受け取り、都内で月4万円の家賃を払っていたそうです。そして事件前「35年も働いていたのに……これでどう生きていけというのか」と、年金額に対して不満をぶつけていたといいます。

 

生活困窮による痛ましい事件。その後、何かが変わったかといえば、答えはNO。むしろ年金受給額は減りつづけ、現役世帯の負担は増すばかり。自助努力を求める声は、ますます強くなっています。そんな日本に悲観しても、さらなる高齢化は避けられず、自分でどうにかするしかない、というのが答えです。

 

老後の備えが不十分といった場合、救いを求める手はあります。ただ、特に単身の場合は社会からの孤立し、苦境が伝わらない、支援も届かない、といった負の連鎖が起きがち。セーフティーネットは十分とはいえないにせよ整備されているので、それをいかに必要な人に届けるかが課題だといえるでしょう。