新卒一括採用、終身雇用、年功序列……日本特有の雇用環境がまだまだ残っていくなか、勤務年数が長くなればなるほど給与はあがり、手取りが増えていくのが一般的です。しかし世の中、無数の企業があり、そうはいかないケースもあるようです。みていきましょう。
勤続10年・手取り14万円「日本、終わってる…」33歳・負け組サラリーマンの逆襲 (※写真はイメージです/PIXTA)

33歳で手取り14万円…「最低賃金以下」の可能性は?

33歳で手取り14万円……確かに「日本、終わっている」とぼやきたくなるのもわかります。ただ日本の現状をぼやく前に、会社についてぼやくべきかもしれません。調べるべきは「最低賃金」。

 

月給制の場合、「月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)」となっていなければなりません(厚生労働省ホームページより)。仮に1ヵ月の所定労働時間が「8時間×22日」で平均176時間だとすると、時給換算948円となります。最低賃金は地域ごとに異なり、2022年10月から東京都の最低賃金は30円ほどあがり1,072円に。最低賃金以下となり、法律違反となる可能性が高いといえます。また2年前の東京都の最低賃金は1,013円なので、その時点でも法律違反だった可能性は高いといえるでしょう。

 

前出の厚労省の調査で「大卒・正社員・30代前半」給与分布をみていくと、月収の中央値は33万5,300円。下位10%でも24万1,500円。月収16万7,000円、手取り14万円となると、0.4〜1.6%と、100人に1人程度。底辺といっても過言ではない水準です。

 

あくまでも所定労働時間が176時間だった場合なので、必ずしも法律違反というわけではありません。また、使用期間中だったり、精神・身体障害により労働能力の低い人だったりと、労働能力などの点から、最低賃金を一律に適用することが必ずしも適当ではない場合について、都道府県知事の許可を条件として適用除外とすることが認められています。しかし「大卒後、都内メーカー勤務の33歳会社員。手取り額は14万円」であれば、法律違反の可能性大。日本を嘆くよりも、会社を嘆く必要がありそうです。

 

万が一、そのような状況にいる人がいるならば、使用者は最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。それでも頑として支払わない場合、労働基準監督署に通報(申告)を。通常、まずは是正勧告がされます。悪質性が低く、差額が払われれば罰則はありませんが、悪質かつ指導にも従わない場合は、罰則に加えて、検察庁へ書類送検されることが多いようです。

 

そんなことしたらクビになる……労働基準監督署には守秘義務があるため、心配はありません。声をあげるほかにも、会社に見切りをつけるのも手。劣悪な環境に身を置き続けるのは「自分が終わっている」ことになります。行動を起こすことが第一歩になります。