消費者物価指数は過去30年で一番の上昇率。相次ぐ値上げにあちらこちらから悲鳴が聞こえ、特に「食費」や「光熱費」といった、暮らしの中心にある費用の割合が高い地域からは、限界の声も聞こえてきます。総務省『家計調査』から、厳しい現状をみていきます。
値上げがキツイ、もう限界…都道府県別「食費&光熱費」ランキング (※写真はイメージです/PIXTA)

値上げラッシュ…食料品の消費が多い都道府県から悲鳴

総務省が発表した8月の消費者物価指数(2020年=100)は、生鮮食品を除く総合指数で102.5となり、前年同月比2.8%の上昇。消費増税の影響を除き、1991年9月以来、30年11ヵ月ぶりの上昇率となりました。また、生鮮食品を含む総合指数は3.0%の上昇率で、こちらも30年9カ月ぶりの水準だといいます。

 

522品目のうち、上昇した品目は372、変化なしが40、低下が110。資源高や円安が、エネルギー関連、食料品の価格を押し上げています。海外に目を向けると、欧米の総合指数は8~9%の上昇と、日本よりも高い水準にあり、「それよりはまし」といったところでしょうか。それでも毎月のように耳にする値上げのニュースにうんざり、といったところでしょう。

 

10月からも値上げは続々。「今日も頑張った自分に乾杯」と、ささやかなご褒美に欠かせないビールも値上げ……消費者からは「やってられない!」といった声があがっています。

 

今回の相次ぐ値上げですが、賃金上昇以上の値上げで、特に所得の低い層を直撃。毎日の食卓に欠かせないものがどんどん値上がりしていくわけですから、家計を切り詰めるだけ切り詰めて、なんとかやっていくしかない、という家庭も珍しくないでしょう。

 

総務省『家計調査』(2021年)によると、消費支出に占める食料費の比率、エンゲル係数は勤労世帯で25.4%。家計の4分の1を占めます。ここに値上げラッシュの影響が直撃しているわけですから、あちらこちらから悲鳴が聞こえてくるのも無理のない話です。

 

都道府県別にみていきましょう。最もエンゲル係数が高いのは「大阪府」で29.1%。続く「秋田県」は27.9%。以下「沖縄県」「青森県」「千葉県」と続きます。一方でエンゲル係数が最も低いのは「鹿児島県」で21.9%。以下「山形県」「長野県」「鳥取県」「茨城県」と続きます(関連記事:『都道府県別「食費(エンゲル係数)」「光熱費」ランキング《2021年》』)。

 

同じ日本ですが、エンゲル係数に注目すると、最多と最少で7ポイントほどの差があり、今回の値上げのインパクトにも地域差がありそうです。

 

【都道府県別「エンゲル係数」上位10】

1位「大阪府」29.1%

2位「秋田県」27.9%

3位「沖縄県」27.6%

4位「青森県」27.1%

4位「千葉県」27.1%

6位「宮崎県」27.1%

7位「愛知県」27.0%

7位「長崎県」27.0%

9位「埼玉県」26.9%

9位「和歌山県」26.9%

出所:総務省『家計調査』(2021年)より作成