老後2000万円問題で国会が紛糾したり、高校の授業でお金の勉強が始まったりした背景には、国が「国民を養えない」と感じているという現実があります。本記事では、スティーブ金山氏が著書『18歳になったら、必ず押さえておきたいFIRE黄金法則』(彩流社)にて紹介している「これからの日本経済が厳しい理由」10項目のうち3項目について解説していきます。
年金財政は「国民の犠牲」なくして成り立たない…日本社会に訪れる恐ろしい“これから” (※画像はイメージです/PIXTA)

「年金受給前に亡くなる可能性」…受け取れたとしても「年金だけでの生活は厳しい」

最近の70歳はまだまだ若い人たちが多いのも事実ですが、2020年、2021年にお亡くなりになった著名人の享年を見てください。

 

・古賀稔彦さん 53歳 がん(1992年バルセロナ五輪の柔道金メダリスト)

 

・田村正和さん 77歳 心不全(俳優)

 

・チャーリー浜さん 78歳 誤嚥性肺炎(吉本興業芸人)

 

・和田圭さん 68歳 急性心不全(元フジテレビ解説員、アナウンサー)

 

・中西宏明さん 75歳 リンパ腫(経団連の前会長、日立製作所元会長)

 

・大島康徳さん 70歳 大腸がん(元プロ野球選手)

 

・中村吉右衛門さん 77歳 心不全(歌舞伎俳優、人間国宝)

 

・沢木和也さん 54歳 食道と下咽頭がん(AV俳優)

 

・梓みちよさん 76歳 孤独死(歌手)

 

・志村けんさん 70歳 コロナ(コメディアン)

 

・岡江久美子さん 63歳 コロナ(女優)

 

・山本寛斎さん 76歳 白血病(ファッションデザイナー)

 

・志賀廣太郎さん 71歳 誤嚥性肺炎(俳優)

 

・渡哲也さん 78歳 肺炎(俳優)

 

・宅八郎さん 57歳 小脳出血(オタク評論家)

 

・岸部四郎さん 71歳 急性心不全(タレント)

 

・斎藤洋介さん 69歳 がん(俳優)

 

・小松政夫さん 78歳 肝細胞がん(コメディアン)

 

・林家こん平さん 77歳 誤嚥性肺炎(落語家)

 

・羽田雄一郎さん 53歳 コロナ(政治家)

 

著名人は、日本全体から見れば極めて少ない人数です。しかし著名人だけでも、このように年金をもらう前に亡くなる人や、数年しか受け取らずに亡くなる人がたくさんいるのです。

 

70歳が年金支給開始年齢になるということは、あなたは年金をほとんど受け取らないにもかかわらず、毎月お金を支払わなくてはならないことを意味します(もし、あなたが亡くなったあとに遺族がいれば、残された人が遺族年金をもらえることになりますが、受け取るのはあなたではないことは確かです)。

 

そして、運良く年金を受け取れるようになったとしても、その金額だけで生活していくのは、ますます難しくなっています。

 

[図表4]は、年金の所得代替率の推移です。所得代替率とは、年金を受け取り始める時点における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどのくらいの割合かを示すものです。

 

(出所)NIKKEI STYLE 2018/6/24
[図表4]年金の所得代替率も徐々に低下 (出所)NIKKEI STYLE 2018/6/24

 

この図を見る限り、受け取れる年金の金額だけで生活するのは厳しいと言わざるを得ません。

 

以上のように、年金財政は国民の犠牲のもと、ますます厳しくなっていき、あなたを含めた現役世代の負担はますます増えるにもかかわらず、いつまでも受け取ることができず、受け取れたとしても、それだけでは生活ができない、という厳しいものになっています。

 

運良く支給が開始されたいまの高齢者たちの多くも、ある程度の資産がないと、生活はけっして楽とは言えず、死ぬまで貧困にあえぐことになります。

 

 

スティーブ 金山

ゴールデン・グース合同会社 代表

機会投資家