都心を中心に増え続けるタワーマンション、通称タワマン。好立地や充実した設備など、さまざまなメリットがいわれる一方で、エレベーター渋滞、長い車の出庫待ちなど、デメリットを耳にすることもしばしば。実際の住み心地はどうなのでしょうか。東京・新宿区がタワマン住民に行った実態調査から紐解いていきましょう。
平均価格、驚異の1億円超えも…不安しかない、憧れの「タワマン暮らし」衝撃の実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

9割が「タワマンに住んでよかった」…満足顔の住民に忍び寄る不安要素

同調査では「タワーマンションに住んでみて良かったか」を尋ねていますが、住民の90.5%が「住んでみて良かった」と回答。また「タワーマンションに住み続けたいか」の問いに対しても、「いま住んでいるタワーマンションに住み続けたい」が69.6%、「ほかのタワーマンションに住みたい」と合わせると、8割近くがこの先もタワマン暮らしを望んでいます。

 

その理由として多く挙げられたのが、「交通の便が良い」「生活(買い物、医療機関、教育機関等)に便利」。タワマン特有の事情よりも、立地の良さに関連する満足度が高いことが伺えます。

 

一方でタワマン暮らしにも不平不満はつきもの。そのひとつが、外国人所有者の問題です。

 

タワマンは資産性の高さから外国人の投資対象になることも多く、住民の半数が外国人というケースも。同調査では53.6%が「外国人所有者に対して困ったことはない」と回答。つまり半数は外国人所有者に対して、何かしら手を焼いています。

 

困りごとで最も多いのが「ルールを守らない人が多い」で28.6%。「投資目的で居住していないため連絡がとれない」「ひとつの部屋に不特定多数の人が居住している」といった声も目立ちます。外国人所有者の割合はタワマンによってまちまちですが、外国人の割合が高いとマンション運営にも支障が出やすいといった実態が垣間見られます。

 

さらにタワマン暮らしの問題として、たびたび問題に上がるのが修繕費。その規模から修繕には莫大な費用がかかり、先を見据えた積立金は通常のマンションの2~3倍といわれています。そのこと自体に不平不満がたまりそうですが、同調査で「今後の修繕積立金は足りていますか」の問いに対して、「足りない」とするタワマンが48%とほぼ半数。築10年程度の築浅のタワマンでさえ、3割がすでに「足りない」と答えています。

 

また「建物や設備に不具合はありますか」に対して、6割のタワマンが「ある」と回答。その8割が修繕の予定を立てているものの、なかには「未定」というタワマンも。

 

大規模なものになると、数百戸という規模になるタワマン。その運営は難しく、巧みなかじ取りが必要となります。最近は工事費や資材の高騰もあり、修繕費用の不足はますます深刻になっていくでしょう。そこには憧れだけでは済みそうもない、タワマン暮らしの圧倒的な不安が存在します。