コロナ禍の行動制限が解除され、経済は回復基調に……その流れのなか、給与は前年比増を記録しました。ただ実質的には大幅減という、苦しい現実だといいます。日本の厳しすぎる惨状をみていきましょう。
平均月給35万円…日本のサラリーマン「唖然の手取り額」に「もう、ムリ」 (写真はイメージです/PIXTA)

給与が増えないなら投資で増やす…とはいかない、哀しい日本人

およそ27万円。これが日本のサラリーマンの平均的な手取り額。金額自体は前年と比べて増えてはいるものの「2年前と比べて実質8割強でしかない」というのがリアルなところ。各所から「ムリ」という声が聞こえてきます。

 

この物価高、長く続いてもいずれは収まるであろうという楽観的な見方が大半ですが、給与があがるかといえば多くが悲観的です。

 

世界主要国の賃金の伸び率をみてみると、1995年を100とした際、米国では222と2倍以上に増え、お隣韓国に至っては291と3倍弱に増加。著しい経済成長がそのまま給与にも反映されています。それに対して、日本は95。OECD調査33ヵ国で唯一、マイナスを記録、つまりこの30年ほどで唯一貧しくなった国、それが日本なのです(関連記事:『世界ランキング「賃金上昇率」…世界主要国33ヵ国で比較』)。

 

そのようななか、日本人ができることといえば自助努力といわれてきました。給与があがることを期待するのではなく、自らが所得を増やしていく工夫をするしかない、というわけです。国も貯蓄から投資へと転換させようと躍起になっていますが、事がうまく進んでいるかといえば、難しいといわざるを得ません。

 

金融広報中央委員会『金融リテラシー調査2022年』によると、「過去に 1 か月の生活費を超える金額のお金を運用したことがあり ますか。」の問いに対して、26.9%が「資産運用を行った」と回答。同様の質問に対し、2016年は24.8%、2019年は25.5%と、調査回ごとに増加しているとはいうものの、これだけ資産運用の重要性が叫ばれているなか、生活費以上の投資経験がない人が実に3/4を占めているのです。

 

その理由は明白で「投資するだけの元金がないこと」。生活するだけで精一杯、投資なんて……という日本人があまりにも多いということでしょう。そこにきて急激な物価高。日本人はさらに窮地に追い込まれています。

 

自助努力を高らかに呼びかけても、いまの日本ではとても無理な話。抜本的な変化が求められています。