一見すると同じなのに、知らず知らずにして生じている給与格差。男女、学歴、企業規模、雇用形態……さらに地域によっても、給与は大きく異なります。総務省のデータから「東京23区の給与格差」をみていきましょう。
東京23区年収ランキング…1位「港区」と23位「葛飾区」、思わず唖然とする給与格差 (写真はイメージです/PIXTA)

男女で、学歴で、会社の規模で…格差広がる「日本人の給与事情」

原油価格の急騰、四半世紀ぶりの円安水準、そして連日の値上げのニュース。幅広い日常品の値上げラッシュに家計負担の増加も身に染みる、今日この頃。さらにこの夏以降、コスト高を吸収できず、さらに価格に転嫁されていくといわれていますから、そろそろ、我慢の限界といったところでしょうか。

 

街中では参議院選に向けて、物価高騰対策が大きな争点になっていますが、専門家は「各党とも場当たり的」と分析。またいつものように期待するだけで終わってしまうのか、それとも実行され、私たちの生活が楽になるのか……ぜひとも、後者であってほしいと願わずにはいられません。

 

そもそも急激な物価上昇も、私たちの給与がそれに伴い上がってくれれば問題のない話。ただ各方面でいわれている通り、日本人の給与はこの30年停滞気味。その間、規制緩和で非正社員が増加したこと、働く女性や高齢者が増えたことなど、労働者の構造が変わったことで、数値的に停滞しただけ、という意見もあります。確かに「給与額の停滞」よりも「給与格差の広がり」のほうが、実感としてあるかもしれません。

 

たとえば男女差。厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、男性会社員の推定年収は546万円に対し、女性会社員の推定年収は385万円と、その差は161万円。

 

また同じ男性会社員でも、高卒の推定年収は478万円、大卒の推定年収は631万円、大学院卒の推定年収は793万円。最終学歴が高校か、それとも大学かで、153万円もの給与差が生じています。

 

企業規模ではどうでしょうか。従業員規模10~99人企業に勤務する男性会社員の推定年収は454万円。一方、従業員規模1,000人以上企業では643万円。企業規模によって給与差は189万円になります。

 

さらに雇用形態による格差もさらに大きなものがあります。男性正社員の推定年収は571万円。一方、男性非正社員では342万円と、その差は229万円。積極的に非正社員を望んでいるのであればいいのですが、望まざるして非正社員という人にとって、この格差は残酷です。