社会人1年目…氷河期以前と氷河期後で比較
内閣府男女共同参画局による『令和3年度人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査』。その目的は、結婚・仕事・収入に関する意識調査等から超高齢化社会における働き方などを検討する際の飼料とする、というものですが、仕事に関する調査からは、日本人のボリュームゾーンである団塊ジュニアを中心とする世代の哀れともいうべき姿を垣間見ることができます。
そもそも日本の人口構造は、いわゆる「ひょうたん型」という歪なカタチをしています(図表1)。75歳付近の高まりは、いわゆる「団塊の世代」。戦後のベビーブームによって生まれた人たちです。
その子供にあたるのが、次のボリュームゾーンである40代後半の人たち。いわゆる「団塊ジュニア」と呼ばれる人たちです。
団塊の世代は日本の高度成長を支えたと称えられることも多い世代ですが、団塊ジュニアは、日本が高度成長から低成長への転換点で社会に出てきた人たち。親世代のようにと意気込んだものの急激な経済環境の変化により、雇用環境が悪化。いわゆる、就職氷河期に突入し、多くの人が出鼻をくじかれます。
では調査結果に戻り、「仕事を取り巻く状況」の項をみていきます。
まず同調査では、世代を以下の3つに分けて分析をしています。団塊の世代は、ちょうど「就職氷河期コア世代」にあたります。
・「就職氷河期コア世代」1975年〜1984年生まれ=2021年調査時点37歳〜46歳で定義
・「就職氷河期コア世代より若い世代」1985年生まれ以降=2021年調査時点20歳~36歳で定義
・「就職氷河期コア世代より上の世代」1974年生まれより前=2021年調査時点47歳~69歳で定義
最終学歴後に働いていた人を対象に「初職の雇用形態」をたずねたところ、男女ともに「就職氷河期コア世代より上の世代」で「正規雇用」の割合が最も高く、女性で79.5%、男性で88.0%。一方、それから下の世代は「非正規雇用」は女性で3割超、男性で2割弱といったところ(図表2)。
また「初職の企業規模」は、「就職氷河期コア世代より上の世代」では「1,000名以上」の割合が最も高く、それより下の世代では企業規模の小さな企業の割合が増えています(図表3)。さらに「初職の勤続年数」は、男女ともに「コア世代」で「3年以下」の割合が高く、男性では「コア世代より上の世代」で「11年以上」の割合が高い傾向にありました(図表4)。
このことからも、就職氷河期前と後で、日本の雇用形態が大きく変わったことが分かります。終身雇用に年功序列。良いか悪いかはさておき、以前の日本は一度勤めれば安定して働き続けることができましたが、就職氷河期が転換点となり、決して条件が良いとはいえない状況でも働かざるを得なくなった……そんな岐路に団塊ジュニアは初めて直面した世代といえるのです。