日本は、学校教育でお金に関する授業はありませんが、欧米諸国では小学校からマネー教育を学んでいます。欧米諸国では、数学や外国語などと同様に、お金の教育をとても重要だと考えています。ファイナンシャル・プランナーの渡邊一慶氏が著書『定期預金しか知りませんが、私、本当にお金持ちになれるんですか?』(秀和システム)で解説します。
日本の「お金」の教育がいまだに欧米に比べて時代遅れなワケ

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欧米諸国では小学校からマネー教育

■金利が最も低い日本が、最も預金率が高い

 

――でも、どうして、アメリカ、日本、ヨーロッパで、家計で保有している金融資産の構成比に、こんなにも差が出ているのでしょうか? 金利の影響とか?

 

渡邊 では、アメリカ・日本・ユーロの金利を比較してみましょう。2021年3月現在の金利ですと、アメリカが0.25%、日本がマイナス0.10%、ユーロが0.00%と、どこもあまりにも低い金利で参考になりません。そこで、2008年9月に起こったリーマンショックのときの金利を見てください。当時の金利は、アメリカが2.00%、日本が0.50%、ユーロが4.25%でした。

 

――日本の金利は今とあまり変わらないですが、アメリカとユーロの金利はかなり高かったんですね。

 

渡邊 そうです。通常、景気がいいときには金利を引き上げて物価の上昇を抑え、景気が悪いときには金利を引き下げて経済を刺激します。そのため、金利は経済状況によって上がったり下がったりするものなのです。

 

渡邊一慶著『定期預金しか知りませんが、私、本当にお金持ちになれるんですか?』(秀和システム)より。
渡邊一慶著『定期預金しか知りませんが、私、本当にお金持ちになれるんですか?』(秀和システム)より。

 

――では、世界の金利動向を見ていれば、景気がいいのか悪いのかを判断できそうですね。

 

渡邊 その通りです。そして、金利は預金とも関係が深いんですよ。もしも、丑久保さんが預金をするなら、金利が高いときと低いときのどちらがいいですか?

 

――それはもちろん、金利が高いときです!

 

渡邊 当然そうですよね。ですから、金利が高いときは預金が増えて、低いときは預金が減るという現象が起こりやすいのです。人間には欲があるので、金利が低ければ、少しでも利回りのいい商品へとお金が向かいます。

 

――たしかに、そうですよね。銀行に預けておくだけでお金が増えるなら、僕も今、ここにいないかもしれませんし。

 

渡邊 預金しておくだけで十分な金利がもらえるのであれば、わざわざ損をするかもしれない投資なんてする必要がないですからね。そこで質問です。2021年3月現在、アメリカ、日本、ヨーロッパのうち、最も金利が低い地域はどこでしたか?

 

――日本ですね。たしか、日本だけマイナスでした。

 

渡邊 それでは、家計金融資産構成比で最も現金・預金比率が高かったのは?

 

――日本です。日本は、欧米と比較して圧倒的に預金が多かったですよね。

 

渡邊 何かおかしくないですか? 金利が最も低い日本が最も預金率が高いのです。

 

――あっ、本当ですね。でも、なんで日本はそうなってるんですか?

 

渡邊 それは、マネー教育の差が影響しているからだと思います。丑久保さんは、小学校から大学までの間に、学校の授業でお金に関する授業を受けたことはありますか?

 

――いや、ないですね。学校でお金の授業なんて……あったかな?

 

渡邊 そう、普通ないですよね。日本は、学校教育でお金に関する授業はありませんが、欧米諸国では小学校からマネー教育を学んでいます。

 

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