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仮想通貨(暗号資産)の価格の変化を予想するときに効果的な指標が、「ハッシュレート」と呼ばれるデータです。
本記事では、ハッシュレートの仕組みや価格との関係について解説します。これから仮想通貨の購入を検討している方は、最後までチェックしてください。
1. ハッシュレートとは?単位についても解説
ハッシュレートとは、マイニング(ブロックチェーン上にデータを新しく保存する作業のこと)の計算速度を表す単位のことです。
最小単位は「hash/s(ハッシュ/セカンド)」で、マイニングによって1秒間に行われる計算量を表します。レートの変動はビットコインの価格に影響するため、価格予想の指標にもなります。
1.1. ハッシュレートとはマイニングにおける計算力
ハッシュレートは、「マイニングの計算スピード」を示した数値です。
マイニングとは「資源の採掘」という意味です。仮想通貨では「ブロックチェーン上に取引データを新しく追加していく作業」のことを指し、達成したユーザーは仮想通貨をもらえます。正解を導き出して報酬を得ることが採掘に似ていることから、仮想通貨でも「マイニング」と呼ばれるようになりました。
仮想通貨はブロックチェーン技術で複雑に構成されており、ブロックごとの計算量は膨大です。そのため、高性能なコンピューターがマイニングに参加し、1秒あたりに処理される計算力を示したのが「ハッシュレート」です。
1.2. ハッシュレートの単位
最小単位は「hash/s(H/s)」です。1秒間に処理される計算量を表しており、単位が大きいほど処理される計算量が多いことを意味します。
■ハッシュレートの単位一覧
単位 |
内容 |
K(キロ)H/s |
1,000回/1秒間 |
M(メガ)H/s |
100万回/1秒間 |
G(ギガ)H/s |
10億回/1秒間 |
T(テラ)H/s |
1兆回/1秒間 |
P(ペタ)H/s |
1,000兆回/1秒間 |
E(エクサ)H/s |
100京(けい)回/1秒間 |
たとえば「10TH/s」の場合、1秒間に10兆回の計算をしていることを表します。ビットコインはレートが年々上昇しており、2020年には100mTH/s(=100EH/s)、2021年には150mTH/s(=150EH/s)を超える計算速度を記録しています。
1.3. ハッシュレートの上下によりディフィカルティー(採掘難易度)が調整される
ディフィカルティーとは、採掘難易度のことです。マイニングでは複雑な計算を行って正しい取引であることを承認するデータを導き出します。その計算難易度のことをディフィカルティーといいます。
レートの変動に伴い、ディフィカルティーが調整されます。
その理由は、仮想通貨の発行しすぎを防ぐためです。ビットコインの場合はマイニングが約10分に1回のペースで行われ、その都度コインが新規に発行されています。しかし、発行上限(2,100万枚)が決まっているため、マイニングの時間が短縮されればすぐに上限に達してしまいます。
そこで、10分に1回のペースに維持させるため、ディフィカルティーが自動的に調整されるのです。
2. ハッシュレートの確認方法は?ビットコイン価格との関係性も
ハッシュレートは、ビットコインの価格と関連があります。
ここでは、ハッシュレートの見方や調べ方、ビットコイン価格との関係性について解説します。
2.1. ハッシュレートの見方
ハッシュレートは、基本的に折れ線チャートで表されます。上記画像の場合、縦が「ハッシュレート」で横が「日付」を表します。たとえば、2021年12月10日は181.774mTH/s(=181.774EH/s)です。
2.2. リアルタイムのハッシュレートの調べ方
ハッシュレートは、「Blockchain.com」のサイトで確認ができます。
上記画像の左下の期間から「30日」を選択することで、リアルタイムに近い細かいレートを見ることが可能です。
2.3. ハッシュレートとビットコイン価格はどう関係する?
全体的に見ると、ハッシュレートはビットコイン価格と比例関係があります。つまり、レートが上がるとビットコイン価格も高騰します。その理由は、マイナー(マイニングを行うユーザー)が増えることが挙げられます。
そもそもマイニングには、膨大かつ複雑な計算処理が可能なコンピューターの導入や動かすための電気代など、非常にコストがかかります。
必要な費用より報酬が少なければ、メリットはありません。たとえば、マイニングに月10万円が必要な場合、もらえる報酬が5万円だと損になります。そのため、レートが上昇するときは、マイナーが増加してビットコインの価格が高騰する可能性が高いといえます。
2.4. マイニングで得られる収益
ハッシュレートが高ければビットコイン価格が上昇し、マイニングでもらえる収益が増えやすいです。しかし、競争率も高まるため、より高度な計算処理を行えるGPU(グラフィックボード)の使用が必須です。
また、経費となる電気代を計算する方法は「1日の電気代×1ヵ月」です。「Mining Hardware」は収益計算ソフトで、電気代や使用量を入力するだけで利益(報酬-電気代=収益)を自動計算できます。
個人でマイニングをする場合は、どのくらいの収益が見込めるかをチェックしましょう。
3. ハッシュレートの最近の動向は?
ここでは、ハッシュレートの直近のレート推移やマイニングとの関連について解説します。
3.1. 直近のハッシュレートはどう推移している?
ビットコインは2009年に誕生して以降、価格もハッシュレートも右肩上がりに上昇しています。2021年7月ごろに一度急落しましたが、2021年〜2022年にかけてV字回復しました。
上記チャートのように上昇が見られることは、マイニング量が増加していることを意味します。
- マイナー(参加ユーザー)の増加
- 1秒あたりに処理できる計算量が増加
ハッシュレートの上昇はネットワークセキュリティが高まることも意味するため、ブロックチェーンの安全性は日々向上していると考えられます。
3.2. 直近のマイニング報酬はどう推移している?
ビットコインは4年に1回「半減期」と呼ばれるマイニング報酬が減少する時期があります。
半減期の目的は、新規に発行する通貨の量や価値のコントロールです。実際に過去3回起きた半減期では、下記のように報酬が減少しています。
■半減期と報酬の変化
時期 |
マイニング報酬の変化 |
2012年 |
50BTC→25BTC |
2016年 |
25BTC→12.5BTC |
2020年 |
12.5BTC→6.25BTC |
このように、4年に1回の半減期によって、報酬でもらえるビットコインの量は減少していることがわかります。
3.3. ハッシュレートとマイニングの関係性
繰り返しになりますが、ハッシュレートはマイニングで行われる計算速度のことです。
ハッシュレートの上昇はコンピューター処理速度の上昇に加えて、マイナーの増加を意味します。つまり、正確な計算ができる参加者の増加を意味するため、セキュリティが高まっている状態だと言えます。
3.4. ハッシュレートが下がる原因は?
ハッシュレートが下がる原因はさまざまです。
- 仮想通貨の価格が下がる
- 仮想通貨取引の取り締まり強化
なかでも、仮想通貨取引の取り締まり強化が影響を与えた事例が過去にありました。
2021年5月、中国で仮想通貨の取引に関する規制が強化されました。その結果、7~8月は中国のマイニング量は0になり、7月4日までレートが急落。圧倒的な採掘量を誇る中国でマイニングが禁止になったことで、ハッシュレートが急激に下がりました。
4. イーサリアムのハッシュレートの動向は?
ビットコイン以外のコインを「アルトコイン」と呼びます。どれも年々価格が高騰している銘柄が多いなか、有名なアルトコインの一つが「イーサリアム」です。
ここでは、イーサリアムとハッシュレートの関係性について解説します。
4.1. イーサリアムとは
イーサリアムは、仮想通貨のなかで時価総額2位の通貨です。通貨は「ETH(イーサ)」で表されます。
イーサリアムは「スマートコントラクト」や分散型アプリケーションのプラットフォームでもあるという特徴があります。スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で前もって設定されたルールに従って取引を実行するプログラムで、不正ができません。
たとえば、自動販売機では「150円を入れる」という条件を満たさなければ、ジュースを買うことができないように、スマートコントラクトでもルールが決められており、ルールに反する取引はできません。
このイーサリアムは、利用される機会が徐々に増えています。
- NFT取引に使われる
- 取り扱いのある取引所が多い
イーサリアムの価格も右肩上がりに推移しているため、今後も期待できる仮想通貨だといえます。
4.2. イーサリアムのハッシュレートはどう推移している?
最近のイーサリアムのハッシュレートは、「1.04PH/s」です。ビットコインと同様に、イーサリアムのレートも右肩上がりで推移しています。
2021年6月には中国の仮想通貨取り締まり強化によって急落していますが、そのあとは回復しています。
上記チャートでは、2018年5月に「210TH/s」でしたが、2022年5月には「1.04PH/s」まで上昇。同じように、イーサリアムの価格は2018年5月24日に「61,847円」でしたが、2022年5月24日に「253,084円」まで高騰しています。
このように、イーサリアムの価格もハッシュレートと比例関係にあると言えます。
5. ハッシュレートに関する最近のニュース
ここでは、ハッシュレートに関する最近のニュースを2つ紹介します。
5.1.〈2022年2月〉ハッシュレートが爆発的に上昇し、過去最高を記録
2022年2月12日、ビットコインのハッシュレートは最高値の248.11mTH/sまで爆発的に上昇しました。前日の2月11日は約190mTH/sであったため、約30%も上昇したことになります。
ハッシュレートの上昇は、ビットコイン価格の高騰だけでなく、ブロックチェーンのセキュリティ強化にもつながります。そのため、以前よりさらに安全なネットワークが利用できるでしょう。
5.2.〈2021年12月〉ハッシュレートが中国での規制強化前の水準までほぼ回復
2021年5月、中国で仮想通貨が規制されてからハッシュレートは急落していました。しかし2022年1月時点で、中国の規制強化前の水準まで回復。
実際にBTC.comのデータでは、2021年5月の最高値が180mTH/sを超えていましたが、2021年12月に180mTH/sを超えるデータを記録しました。
このように、中国の規制強化前の水準まで回復していることがわかります。
ハッシュレートが回復した理由は、中国で規制が強化された以降も他の国でマイニング事業が拡大したからです。多くの国でマイニングに参加するユーザーが増えたため、ハッシュレートが上昇したと考えられます。
中国以外の様々な国でマイニングが行われるようになったため、ブロックチェーンのセキュリティはさらに強化されたと言えます。
6. ハッシュレートの今後の見通し
2009年に誕生したビットコインの価格は長期で見ると右肩上がりであるため、今後もハッシュレートは上昇すると考えられます。価格の減少や仮想通貨の規制強化による一時的な下落もありましたが、全体的には右肩上がりです。
ブロックチェーン技術の進歩により、仮想通貨は今後も盛り上がりが予想され、上昇が期待できるでしょう。
7. まとめ
本記事で説明したとおり、ハッシュレートは1秒あたりのマイニング計算量を表しており、数値が高いほど多く計算されていることを表します。さらに、ハッシュレートと仮想通貨の価格は相関関係にあることが多いです。
今後ビットコインを購入する際は、ハッシュレートの変動もヒントにして、タイミングを検討してみてください。