2019年1月3日にわずか5分程度で4円の急落を起こしたドル円の「フラッシュクラッシュ」。5分間で大勢のトレーダーに莫大な損害をもたらしたと同時に、一気に利益を得た人もいました。その差は一体どこにあるのか。株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏が解説します。
5分で4円の大暴落!「フラッシュクラッシュ」はなぜ起きたのか? ※画像はイメージです/PIXTA

何故フラッシュクラッシュは起こったのか?

フラッシュクラッシュが起こった直接の原因は不明です。有力な意見としてはアップルショックが主因だという意見があります。2019年1月2日、フラッシュクラッシュが起こる前日、米アップルのティム・クックCEOの要人発言が原因となって、フラッシュクラッシュを起こしたという見方です。

 

それを助長したのが、AIによる自動取引です。ある値に到達したときに自動的にポジションを持ち、ある値に到達したときに自動的にポジションを決済する。近年のFXの自動売買は盛んになる一方で様々な視点から発展していっています。

 

フラッシュクラッシュを未然に防ぐことはできたか?

確かにフラッシュクラッシュが起こった原因を探ることも重要かもしれませんが、真に重要なことはまずはそれを未然に防ぐことです。それが可能だったかと考えるとそれは可能だったと言わざるを得ません。

 

なぜなら、1月3日は正月休みであり薄商いになるため、ポジションは持たないようにするということはテクニカル分析を学ぶものにとっては常識的なリスク管理だからです。薄商い時のトレードは行わないという考え方は、全く特殊な考え方ではなく、広く知れ渡っている考え方です。特に正月休みは多くのトレーダーがトレードを行いません。

 

他の薄商いの時期としては夏枯れ相場として知られる夏休みの期間なのですが、こちらはトレードを行うトレーダーも多いです。そんなトレーダーですらトレードするのを避けるのが正月休みなのです。正月休みはそれだけ相場の急激な変動が起こりやすいのです。

 

AIによる自動売買は大変便利ですが、一度設定すればお金を生む魔法の杖と思っていると大損害を受けてしまうでしょう。どれだけ稼いでも、一度大きな損をしてしまえば帳消しになるし、税金分を考えると、単に稼いだお金を相場にまた献上しているような格好になってしまいます。リスクを徹底的に取り除くことが、AIによる自動売買においても重要なのです。

 

フラッシュクラッシュによりむしろ大儲けした人もいる

テクニカル分析を知っていれば、急落したとしてもむしろそれがチャンスとしてトレードできたはずです。1月3日に相場を見ていたらという話にはなりますが、正月休みはそもそも相場の急変動が起こりやすいので、最初からそれを狙って待機しているトレーダーもいたでしょう。

 

テクニカル分析を知っていた人たちは、フラッシュクラッシュが起こったとしてもほぼピンポイントに近い値で止まる値が予想できたと考えられます。そうすれば、一瞬で莫大な利益を得ることができたわけです。

 

莫大な不利益を被った人がいる一方で爆弾な利益を得る人もいるというのが相場のルールです。誰かが負ければ誰かが勝つのであり、勝つためには知識を手に入れて分析し練習していくしかありません。