総務省が発表した2021年の家計調査報告によると、2人以上の世帯の平均貯蓄は1,880万円。前年比5.0%増となりました。公的年金が主な収入となり、足りない分は貯蓄を取り崩して暮らしている高齢者夫婦の場合は、どうなのでしょうか。みていきましょう。
貯蓄額は平均2,524万円…「夫婦ともに65歳以上夫婦」それでも少々不安なワケ

日本の高齢者夫婦、十分すぎる貯蓄がありそうだが…

このようにみていくと、日本の高齢者夫妻は十分な貯蓄があり、老後の心配はないように思えます。また一時、「老後資金2,000万円不足問題」が世間を騒がせましたが、最新の平均貯蓄額は、それを超えるもの。

 

―—わたしたちは十分な貯蓄もあるし、年金ももらえるし、安心

 

確かに、平均値からみると、十分すぎる貯蓄がありますし、家計の収支からあれば、夫婦ともに100歳を超えても心配のない、盤石な家計だといえるでしょう。

 

ただ全員が全員安心だといえないのが難しいところ。あくまでも今までみてきたのは、「健康に暮らす夫婦」であることが大前提。厚生労働省によると、日本人の生涯医療費は約2,700万円。そのうち6割ほどが、65歳以降にかかる費用とされています。つまり、1,600万円ほどの医療費がかかることになります。

 

もちろんこれは、医療費の総額。健康保険に加入していますし、高額療養費制度によって上限額が設けられているので、医療費で破産、ということはそうないでしょう。ただ年齢を重ねるごとに治療を受ける機会は増えていきますし、先進医療を受けたい、入院時は個室がいいなど、よりよい医療サービスを受けたいと考えれば、健康保険適用外となり、さらに医療費はかさむことになります。

 

そして介護。長生きをすればするほど、介護サービスの利用が多くなりますし、高齢者施設に入居することも考えられます。その場合、入居金は別として、10~30万円ほどの月額料金がかかってきます。

 

さらに住まいについてはどうでしょうか。持ち家の場合、長く住んでいればそれだけ修繕が必要になります。経年での修繕のほか、災害などにより、突発的な出費もあるでしょう。

 

このように考えると「老後2,000万円あるから安心」といえるかどうか、少々不安です。老後いくらかかるかは、まさに青天井。予期せぬ事態も十分に考えられますから、二重にも三重にも、セーフティネットを考えておきたいものです。