将来、どれほどの年金がもらえるのか……現役世代の大きな関心ごとですが、厚生労働省の統計をみてみると、受給額には微妙な世代間ギャップがあることがわかります。みていきましょう。
年齢別!「年金受取額」ランキング…なんと最大月2万円強の世代間ギャップ

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日本の公的年金制度の変遷…上がり続ける保険料

日本の公的年金制度は、現役世代が支払った保険料を高齢者などの年金給付にあてる「賦課(ふか)方式」。一方で「積立方式」という仕組みもあり、将来自分が年金を受給するときに必要となる財源を、現役時代の間に積み立てておく方法です。

 

賦課方式はインフレや給与水準の変化に対応しやすい、つまり価値が目減りしにくい仕組み。ただし現役世代と年金受給世代の比率が変わると、保険料負担の増加や年金の削減が必要となるデメリットがあります。積立方式は、民間の保険と同様の仕組みで運用収入を活用できます。しかし経済変動に弱く、目減りの可能性があります。どちらも一長一短の仕組みといえます。

 

そのようななか、日本が賦課方式を採用している理由として、厚生労働省は以下の通り説明しています。

 

公的年金は、皆さんが安心して暮らしていくための保険であり、高齢で働くことが困難になったときなどの生活を支えるという役割も担っています。そのため、年金としての価値が下がる可能性がある積立方式のリスクは、無視することができません。

逆に、賦課方式の場合は納められる保険料がそのときの給与水準に応じたものであるため、給付に関してもその時々の経済状況に対応しやすいというメリットがあります。

 

出所:厚生労働省ホームページより

 

ドイツやアメリカなど、以前は積立方式でだった国でも、社会情勢に対応していくなかで賦課方式に変わっていったといいます。

 

日本の公的年金は現在、20歳以上の全国民が加入する国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金と、「2階建て」と呼ばれる構造になっています。

 

そんな年金制度ですが、いくどとなく改正されてきました。国民皆年金体制がスタートしたのは1961年のこと。厚生年金基金制度の創設されたのは1965年です。

 

1985年の改正では、全国民で支える基礎年金制度の創設。会社員の被扶養配偶者は、国民年金制度に強制適用となり、第3号被保険者制度が創設されたのもこの時。1989年の改正では、学生も国民年金制度に強制加入となりました。

 

1994年の改正では、老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が、段階的に60歳から65歳へと引き上げ。そして2000年の改正では、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が、段階的に60歳から65歳まで引き上げとなりました。60歳台後半の厚生年金の適用拡大もこの時です。

 

ほかにもさまざまな改正が行われ、現在の年金制度は形作られました。その過程で、保険料は上昇を続けています。バブル期の1989年。国民年金保険料は月8,000円。2022年度は月16,590円ですから、この30年ほどで倍になりました。厚生年金保険料率は、1989年に12.4%だったのが現在は18.3%と増え続けています。