会社員と専業主婦(夫)の夫婦…平均的な年金を受け取るための給与額
月々1~2万円程度、収入が年金だけなら4~5万円程度の赤字、というのが平均的なリタイア夫婦の生活。足りない分は貯蓄を取り崩すことになりますが、そもそも、「月21万円程度の年金を受け取る」ためには、どれくらいの給与があればいいのでしょうか? 会社員と専業主婦(夫)の夫婦の場合を考えてみましょう。前提として保険の加入期間は40年、480ヵ月とします。
国民年金は満額保険料を払っていれば、年額78万0,900円、月に6万5,075円が支払われます。これは2021年度の金額で、毎年変わります。仮に30年(360ヵ月)しか支払っていなければ年金額は4分の3に、20年であれば2分の1になります。
厚生年金の場合は少々複雑で、以下の計算式で計算されます。
■加入期間が2003年3月まで
平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月までの加入月数
■加入期間2003年4月以降
平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数
標準報酬月額は報酬月額の区分(等級)ごとに設定されている計算用の金額のことで、その加入期間中の平均ということになります。等級は現在32まで。受け取れる年金額には上限があります。
夫婦で月21万円とすると、会社員の配偶者は国民年金+厚生年金で14万5,000円、専業主婦(夫)は6万5,000円。上記の計算式に当てはめると、簡易的な計算ですが、会社員の配偶者は、平均して月35万~37万円、年収にして520万~550万円であればクリアできることになります。
国税庁『令和2年 民間給与実態統計調査』によると、会社員の平均給与は433万円。年収500万円以上は全体の3割です。保険料払い込み期間の平均で、年収520万~550万円程度というのは、結構ハードルの高いことであることは明らか。「会社員+専業主婦(夫)」では、「平均的な老後」を実現させることは難しい、というのが現実です。
今回、あくまでも「現在の平均的な老後」を実現させるために、「現在の年金制度」を参考に、「現役世代はいくら給与があればいいのか」を考えてみました。簡易的な計算であり、もちろんそれ限りではありません。今後、高齢化が進むなか、現役世代はもちろん、高齢者自身も負担が大きくなるといわれています。不測の事態も想定して、老後に備える必要があります。