まず現在も会社員として勤務しながら事業を行っているのは、起業家で5.8%、パートタイム起業家で40.4%。会社員との二足わらじを履きながら、起業家として活動しています。
起業した業種をみていくと、「個人向けサービス業」が最も高く、起業家で16.4%、パートタイム起業家で18.7%。法人向けサービス業(起業家16.1%、パートタイム起業家11.5%)を含めると、ともに3割を超えています。また個人企業が起業家は71.1%、パートタイム起業家は93.4%。従業員を抱えているのは、起業家で4割弱、パートタイム起業家で2割強となっています。
起業費用は起業家で「50万円未満」が最も高く26.8%。パートタイム起業家は「費用はかからなかった」が45.6%と最も高くなっています。コスト的には起業も現実的に思えてきます。
【起業費用】
■起業家
「費用はかからなかった」20.6%
「50万円未満」26.8%
「50万~100万円」11.1%
「100万~500万円未満」21.7%
「500万~1,000万円未満」10.6%
「1,000万円以上」9.2%
■パートタイム起業家
「費用はかからなかった」45.6%
「50万円未満」36.3%
「50万~100万円」5.0%
「100万~500万円未満」7.6%
「500万~1,000万円未満」2.0%
「1,000万円以上」3.5%
出所:日本政策金融公庫『2021年度起業と起業意識に関する調査』
収入面をみていきましょう。「本人の定期収入に占める事業収入の割合」は、「100%(事業収入のみ)」が起業家で40.5%、パートタイム起業家で14.6%。一方、パートタイム起業家で最も多いのが「5%未満」38.6%。パートタイム起業家のなかには、副業として「収入の足しになったら」という人も多いでしょう。一方で起業家でも約6割が事業収入以外で収入を得ている状況を顧みると、起業してそれだけで暮らしていくことの難しさがにじみ出ています。
【定期収入に対し事業収入が占める割合】
■起業家
「5%未満」7.4%
「5~25%未満」8.2%
「25~50%未満」11.0%
「50~75%未満」12.3%
「75~100%未満」20.6%
「100%」40.5%
■パートタイム起業家
「5%未満」30.1%
「5~25%未満」26.4%
「25~50%未満」10.0%
「50~75%未満」7.2%
「75~100%未満」11.7%
「100%」14.6%
出所:日本政策金融公庫『2021年度起業と起業意識に関する調査』
会社員としての安定を捨てて……起業の動機はなんなのでしょうか。起業家では「自由に仕事ができた」と仕事に対する思いの実現がトップ。一方でパートタイム起業家は「収入を増やしたかった」と、お金のことを一番に挙げています。
【起業動機上位5】
■起業家
「自由に仕事がしたかった」61.1%
「収入を増やしたかった」39.6
「仕事の経験・知識や資格を生かせた」24.8%
「自分の技術やアイデアを試したかった」18.7%
「自分が自由に使える収入が欲しかった」15.7%
■パートタイム起業家
「収入を増やしたかった」56.3%
「自由に仕事がしたかった」29.5%
「自分が自由に使える収入が欲しかった」25.4%
「自分の技術やアイデアを試したかった」16.4%
「趣味や特技を生かしたかった」11.1%
(空いている時間を活用したかった 10.1%)
出所:日本政策金融公庫『2021年度起業と起業意識に関する調査』
一方、「起業して良かったこと」は、「自由に仕事ができた」がともにトップ。パートタイム起業家では収入面の効果も口にしています。起業動機はどうあれ、当初の目標を実現できているようです。
【事業を始めてよかったこと 上位5】
■起業家
「自由に仕事ができた」57.9%
「仕事の経験・知識や資格を生かせた」37.2%
「事業経営を経験できた」34.9%
「自分の技術やアイデアを試せた」29.0%
「時間やアイデアを試せた」26.1%
■パートタイム起業家
「自由に仕事ができた」34.4%
「収入が予想通りに増えた」28.6%
「自分が自由に使える収入が得られた」27.5%
「仕事の経験・知識や資格を生かせた」22.8%
「自分の技術やアイデアを試せた」18.2%
出所:日本政策金融公庫『2021年度起業と起業意識に関する調査』
実際に起業した人たちの実情をみていくと「やはりビジネスは難しい」と感じさせられるとともに、自己実現ができて羨ましいという思いもあるでしょう。いまは以前よりも「副業」のハードルも低くなりました。将来のお金の不安を解決するための方法として、起業という選択肢もありだといえるのではないでしょうか。