東京都心の新築マンションの平均価格の上昇が止まりません。いまや会社員の平均年収の10倍を超え、東京でマンション暮らしなんて夢のまた夢、という状況になっています。そのようななか、不動産会社から上客とさえているのが、資金力のあるパワーカップル。共働きで、十分な世帯年収があり、消費欲も旺盛。そんなカップルが年収の10倍を超えるマンションを買っているのだといいます。そこにリスクはないのでしょうか。
「都心・億超えのタワマン」を購入したパワーカップル…返済計画に潜む「破綻リスク」 (※写真はイメージです/PIXTA)

パワーカップルのタワマン購入…そこにリスクはないのか?

タワマンの新しい購入者として存在感を増しているパワーカップルですが、ダブルインカムとはいえ、世帯年収の10倍を超えるタワマンの購入にリスクはないのでしょうか。

 

仮に世帯年収1,000万円ギリギリの夫婦が、以下の条件でタワマンかつ億ションを購入したとしましょう。

 

借入金:1億円

金利:当初5年は0.6%、以降は1.0%

返済期間:30年

 

上記の場合、月々の返済額は、当初5年は30万3,596円、以降は31万8,674円となります。また税込年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合である返済負担率は38.596%。フラット35では年収400万円未満であれば30%以下まで、年収400万円以上であれば35%以下ですが、それを上回っており、少々、ローン負担が重い印象です。

 

ただ頭金を1,000万円入れれば、返済負担率は34.737%で、基準クリア。こうしてみていくと、パワーカップルがタワマン購入も、無理な話ではないことがわかります。

 

しかし、すべてがうまくいくとは限りません。

 

まず収入。タワマン購入は、あくまでも夫婦ともに収入があることが前提。仮に夫婦ともに40歳のパワーカップルだとしたら、30年間、収入が途絶えることなく70歳まで共働きを続けることが条件になります。

 

30年間、夫婦ともに安定的な収入が得られる、というのは少々非現実的です。病気で収入が途絶えることも考えられますし、このコロナ禍で減給や賞与なしとなった会社員が多くいたように、パワーカップルにも収入減のリスクは常につきまといます。

 

離婚という事態も想定しておいたほうがいいでしょう。夫婦でローンを組んでいるのですから、万が一、夫婦が別の道を歩むことになったとしたら……揉めに揉めることは明らかです。

 

さらに見落としがちのリスクが、タワマンの大規模修繕。どれほどの金額になるか、事例が少ないだけに未知数の部分が多く、果たして積立修繕金だけで事足りるのか……あまりに不確実。予想もしなかった高額の修繕金に生活が行き詰る可能性も大いにあるのです。

 

返済負担率も問題なく、余裕をもった資金計画で、憧れのタワマンを手に入れたパワーカップルたちも、購入時は問題なくても、払い続けることができるかどうかは不確実。この先、破綻者が続出しないよう、願うばかりです。