後期高齢者となる団塊の世代…医療費負担1割から2割へ
日本が高度成長期だったころに社会人となり、中間管理職となった人も多かっただろう40代前半でバブル景気を経験した団塊世代。しかし、子どもの教育費、住宅ローンと、家計負担が大きなタイミングで、日本は過渡期を迎えます。
そして社会人人生最高の給与額を得る人が多い50代では、不良債権問題で潰れるはずがないといわれていた大手金融機関が相次いで破綻。「給与は増え続ける」という常識が崩れてしまったなか、団塊の世代の人たちは60歳の定年を迎えました。
団塊の世代の多くは、年金が主収入の生活を送っています。厚生労働省『令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、平均年金受給額は月14万4,268円。年齢別にみていくと、団塊の世代は平均14万5,000~14万7,000円程度の年金を受け取っていると考えられます。
【年齢別平均年金受取額】
65歳 14万4,064円
66歳 14万4,333円
67歳 14万3,081円
68歳 14万1,098円
69歳 14万2,764円
70歳 14万7,292円
71歳 14万6,568円
72歳 14万5,757円
73歳 14万5,367円
74歳 14万7,330円
75歳 14万7,957円
76歳 14万9,693円
77歳 15万1,924円
78歳 15万4,127円
79歳 15万6,714円
80歳 15万8,309円
81歳 16万0,073円
82歳 16万0,622円
83歳 16万1,675円
84歳 16万2,760円
85歳 16万2,964円
出所:厚生労働省『令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』より
この年金額が十分か、十分でないか、意見が分かれるところですが、現役世代からすれば「良い時代を生きた団塊の世代は羨ましい」と思うでしょうか。ただ高齢化の進行で負担が大きくなっているのは、現役世代はもちろん、高齢者も同様。
これから団塊の世代は75歳以上、つまり後期高齢者になりますが、2022年から医療費窓口負担が1割から2割に引上げとなります。引き上げの対象となるのは、課税所得が28万円以上、かつ年収が200万円以上*の人。また医療機関に長期間、一定回数以上受診するような人は変更の影響が大きいとして、外来患者については施行後3年間は、1ヵ月の負担増を最大でも3,000円に収まるような配慮措置を導入するとしています。
*単身世帯の場合。複数世帯の場合は、後期高齢者の年収合計が320万円以上
厚生労働省の試算では、2割負担となるのは約370万人で、1人当たりの平均自己負担額は年2万6000円の増加とされています。すべての高齢者が負担増というわけではなく、慌てる必要はなさそうです。
「年2万6000円程度であればなんとかなるでしょ」という意見も聞かれますが、収入が限られる高齢者にとっては、いかなる負担増も大きな不安になるでしょう。なんの心配もない老後を過ごしたい……。誰もが思うそのような未来は、今の日本で実現が難しいようです。