先日、発表された国勢調査の確定値では、65歳以上の高齢者の数が過去最多を記録。そのうち1人暮らしの高齢者も過去最高を更新しました。いわゆる「独居老人」のリスクに備えて、単身者がマイホームを購入するという選択は有効でしょうか。みていきましょう。
「一生おひとり様」を決意した単身者…「老後を見据えてマイホーム購入」はありか、なしか? (※写真はイメージです/PIXTA)

単身高齢者は「賃貸」の場合に苦労する

単身者が高齢になった際に困るのは、住まいのことかもしれません。昨今は、高まる需要により「単身高齢者でもOK」とする物件も増えてきましたが、まだ入居審査の際に不利になることが多いという声が聞こえてきます。そんな将来を見据えると、単身者の賃貸派は不利に感じられます。単身者のマイホーム事情はどのようになっているのでしょうか。

 

総務省『家計調査家計収支編』(2020年)によると、34歳以下の独身の持ち家率は4.0%。35~59歳になると51.2%に急増し、60歳以上では83.0%、65歳以上では84%にも達します。

 

男女別にみていくと、男性では34歳以下で持ち家率2.9%だったのが、35~59歳で47.9%、60歳以上で79.2%、65歳以上で80.3%。女性では34歳以下で5.6%だったのが、35~59歳で56.5%、60歳以上で85.1%、65歳以上で85.9%に達します。単身女性のほうが「将来のために」とマイホームを購入する傾向が強いようです。

 

また単身者の半数は、定年前にマイホームを手に入れ、さらに定年を機に購入する人も多い、というパターンが見えてきました。単身者の場合、持ち家派が大多数のようです。

 

同調査で単身者の平均的な家計収支をみていくと、34歳以下で毎月14万円程度の黒字、34~59歳で13万円ほどの黒字になっています。

 

■34歳以下勤労単身世帯

「実収入」35万3,934円

(「可処分所得」29万2,868円)

「実支出」21万3,641円

「黒字額」14万0,293円

 

■35~59歳以下勤労単身世帯

「実収入」39万6,726円

(「可処分所得」30万9,301円)

「実支出」26万6,571円

「黒字額」13万0,156円

 

出所:総務省『令和2年国勢調査』より

 

単純計算、60歳を迎える前には4,000万円強は貯められる計算です。もちろん、老後のための資金もあるので、すべてを住宅購入に使うわけにはいきませんが、一人暮らし用のマイホームであれば、平均的な単身者は実現できそうです。

 

結婚への考え方が多様化している昨今。これからも生涯未婚の人は増えていくでしょうし、単身の高齢者も増えていくでしょう。そこで最大のネックになるのは「住まい」。その問題を見据えて資産形成を進めていけば、不安も少ない老後がかなうかもしれません。