日本は世界的にみて「低失業率の国」として知られています。一方で世界的にみても「給与が上がらない国」としても知られています。その背景にあるものとは? みていきましょう。
日本人だけがジリ貧も、なぜ「低賃金」を受け入れてしまうのか? (※写真はイメージです/PIXTA)

【関連記事】会社員「給与が増えても手取りは減少」…日本の未来は絶望しかない

世界でも低失業率の日本…その理由は?

新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食業や旅行業を中心に苦境にさらされ、失業者が増加したとたびたび報道されました。しかし直近では新規陽性者数も抑えられ、若干、落ち着きを取り戻した雰囲気が漂っています。総務省『労働力調査』によると、2021年10月時点の完全失業者数は4ヵ月連続の減少、完全失業率(季節調整値)も前月比0.1ポイント低下と改善傾向にあります。

 

完全失業率は2019年、2.2~2.5%台で推移するも、未曽有の危機を前にした第1回目の緊急事態宣言下で2.6~2.8%に上昇。2020年の夏には3%台に突入しました。しかしこれ以上の悪化はみられず、報道で見聞きするほどの事態には陥りませんでした。

 

その要因のひとつとされているのが、「雇用調整助成金」。手厚い特例措置のため、休業するも失業にまで追い込まれずに済んでいるといいます。

 

また日本は諸外国と比較しても低失業率の国として知られています。OECDによる各国の失業率をみてみると、2020年は37ヵ国中36位。1990年からの推移をみてみても、日本の失業率が5%台を上回っていた2000年代初頭に24~26位をを記録。リーマンショック時も再び失業率5%台を記録するも、世界の失業率はさらに厳しいものがあり、日本は30位台でした。

 

【主要国「失業率」ワースト10】

1位「コスタリカ」19.7%

2位「ギリシャ」16.5%

3位「コロンビア」16.4%

4位「スペイン」15.7%

5位「トルコ」13.4%

6位「チリ」11.0%

7位「カナダ」9.6%

8位「イタリア」9.4%

9位「リトアニア」8.8%

10位「スウェーデン」8.6%

**************

36位「日本」2.9%

 

【日本の失業率と主要国内の順位】

1990年 2.17%/25ヵ国中22位

1995年 3.26%/33ヵ国中31位

2000年 4.96%/37ヵ国中25位

2005年 4.62%/38ヵ国中30位

2010年 5.30%/38ヵ国中32位

2015年 3.52%/38ヵ国中38位

2016年 3.27%/38ヵ国中38位

2017年 2.95%/38ヵ国中37位

2018年 2.57%/38ヵ国中37位

2019年 2.46%/38ヵ国中37位

 

出所:OECD2020年データ