株式会社トキ・テックの代表取締役社長として数多くのイベントを手がけてきた土岐龍馬氏は、人的にも金銭的にもコストがかかるイベントは、決して「おいしいビジネス」ではないといいます。そんな薄利のイベントビジネスを救うのが、スポンサーの存在です。イベントビジネスの救世主となるスポンサーの探し方をみていきます。
薄利のイベントビジネス…救世主となる「スポンサー」の探し方

「スポンサー料」…費用対効果に見合った設定を

イベントに協賛してくれるスポンサーを探すときに、最も悩むポイントの一つが、「スポンサー料をいくらにするか」です。

 

イベント全体の予算をある程度組んだうえで、足りない部分を出資してもらいたいというのが本音ではありますが、「これだけ足りないから協力してくれませんか」と言うだけでは、当然お金は集まりません。

 

スポンサーにとって、イベントへの協賛は多くの場合、投資です。すなわち、費用対効果が重要であり、自らのイベントで提供できる価値に見合ったスポンサー料の設定が肝となります。

 

イベントのスポンサーになることで、どんな層の人々に対し、どのように好感を与えられるか。商品の提供を受けるなら、結果的にそれがどんな効果を生むのか。さまざまな観点において、現実的な数字として算出していきます。

 

特に注目されやすいのは、イベントの広告効果です。会場内の看板が、テレビをはじめとしたメディアにどれくらい映るか。それをどの層の人々が視聴しているか。雑誌や新聞の取材がどのくらい入るのか。プログラムに掲載している広告が何人の目に留まるか。公式ホームページにどれほどのアクセスが見込めるか。

 

そうしてあらゆる角度から見返りを洗い出したうえで、見合っているであろう金額をスポンサー料として提示するようにすれば、前向きに検討してもらいやすいと思います。

 

一社だけでは心もとない場合には、共催スポンサーという形をとって、複数の企業に声を掛けることになりますが、その際には競合する商品やサービスがある企業同士を選ぶのは避けるべきです。

 

事業領域のまったく異なる会社同士で組んでもらうと、イベントの共催をきっかけとして思わぬコラボレーションが生まれるケースもあります。実際に、共催の相手に魅力があることが協賛の一つのきっかけになることもままあるのです。

 

なお、スポンサー料は何もお金だけではありません。スポンサー企業の商品の提供という形になることも多いですし、開催スペースの提供や機材の貸し出しといった協力の仕方もあります。

 

自分のイベントにおいて、スポンサーにとって魅力となるであろう要素をしっかりと洗い出すことができれば、計画を一歩先に進められるはずです。

 

なお、「事前にサンプルを配布したい」「会場の看板を修正したい」といったスポンサー側のこだわりに対応した結果、思ったよりたくさん経費がかかってしまうケースがあるため、できれば余裕をもって予算を組んでおきたいところです。また、スポンサー料がそのまま使えるわけではなく、制作費をスポンサー料のなかで分け合う場合もあるので注意が必要です。