日本の65歳以上の割合は30%に迫る勢い。そんな高齢者の暮らしぶりはどのようなものなのでしょうか。総務省の調査などから紐解いていきます。
年金だけでは苦しいです…高齢者「年間40万円の赤字」の暮らしぶり (※写真はイメージです/PIXTA)

年金だけでは生活が苦しいです…高齢者たちの悲惨

年金だけでは足りず、貯蓄を取り崩す生活。これが高齢夫婦の平均像。こんな生活に対して当の本人はどのように感じているのでしょうか。

 

厚生労働省『2019年国民生活基礎調査』で高齢世帯に生活の状況をたずねたところ「苦しい(「大変苦しい」と「やや苦しい」の合計)」と答えたのは51.7%。また国民年金のみの給付の場合は60.3%、国民年金と厚生年金の給付の場合で50.5%が「苦しい」と回答しています。

 

厚生労働省『令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の受給者は3262万3411人で、平均年金額は月5万5946円。厚生年金保険(第1号)の受給者は1538万9876人で、平均年金額は月14万4268円です。

 

国民年金のみ給付される人と、国民年金+厚生年金が給付される人の差は10万円ほどあり、当然、国民年金のみの人のほうが「生活が苦しい」と回答していますが、厚生年金が給付されていても半数は生活苦を口にしています。

 

厚生労働省『中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)』によると、調査対象時、70~74歳の高齢者の約半数が「仕事をしている」と回答。さらに39.0%が「これからも仕事をしたい」と答え、その理由の51.2%が「生活費を稼ぐために仕事をしなければならない」と回答しました。単純計算、70代の5人に1人が「生活のために働かなければいけない」という状況に陥っています。

 

男性65歳であれば平均余命は20.05歳、女性65歳であれば平均余命は24.91歳。年間40万円の赤字だとすると、20年で800万円、25年で1,000万円を貯蓄でカバーする計算です。

 

貯蓄が少しずつ減っていく生活。不安しかない年金生活に、「いつまで働けば楽になるのだろう」という高齢者たちのため息が聞こえてきそうです。