コロナ禍で「正社員」と「非正社員」の格差がさらに鮮明に
コロナ禍で多くの企業が業績を下げ、わたしたちの給与にも影響を与えいます。民間企業の給与に連動する公務員の給与も同様で、先日、47都道府県の職員給与に関する2021年人事委員会勧告が出そろい、月給は据え置きながらもボーナスは全都道府県で引き下げとなりました。
またコロナ禍で改めて雇用環境による格差が浮き彫りになりました。
厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』から算出した、「男性大卒正社員の平均年収」は654万4,000円。そのピークは50代前半で850万7,000円に達します(関連記事:『【年齢別・年収比較表】大卒男性「正社員」vs.「非正社員」』)。
一方で「男性大卒非正社員の平均年収」は409万3,800円。同じ大卒であっても、正社員かどうかで年収はおよそ250万円も変わってきます。また正社員が年収のピークを迎える50代、非正社員の年収は正社員の半分に満たない程度です。
バブル崩壊後、有効求人倍率が1を下回り、就職が困難だった「就職氷河期世代」。大学を卒業しても希望の企業、業種で正社員になれず、非正社員として社会人人生をスタートさせた人が多くいます。
厚生労働省では、「就職氷河期世代の方々へ」と称し、「安定就労」「就職実現」「社秋参加」に向けた相談・支援を行っていますが、実際はなかなか浮上できないのが現実。特に正社員としてマネージメント経験のない50代前半の氷河期世代の人たちは、これから正社員になれる可能性は低く、非正社員のまま定年を迎えることがほぼ確実。
定年まで仕事があれば、まだましかもしれません。このコロナ禍、困窮に陥っている人の多くは非正社員。いま「住むところがない」と救いを求めている人たちには、氷河期世代の50代という人も多いでしょう。
働けど、働けど、報われることのなかった氷河期世代。コロナ禍で住むところまで失う危機に直面しているいま、彼らの恨み節が聞こえてきそうです。衆院選投票まであと数日。どの政党も一斉に富の再配分を訴えていますが、選挙の結果はどうあれ、苦しんでいる人たちを救えるか、注目です。