バブル崩壊後、大卒でも就職が困難だった「氷河期」世代の人たち。特に困難に初めて直面した、現在50代前半の人たちは、正社員になるタイミングを逃し、非正社員のまま現在に至る人も珍しくありません。そんな人たちが直面している現実は、あまりに残酷でした。
未だ奨学金返還の目途立たず…「50代氷河期世代」の残酷すぎる現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

まさか、50代になっても奨学金を返還⁉さらに延滞まで

さらに氷河期世代の50代の厳しい現実が、奨学金に関する調査からも見えてきます。

 

独立行政法人日本学生支援機構が発表した『令和2年度学生生活調査結果 大学昼間部(速報値)』によると、奨学金返還を延滞している人のうち、50代が11%にも上り、さらにその30%強が「非正社員」、20%弱が「無職・失業中」という状況です。

 

この結果はあくまでもアンケート回答者によるもので、実情とは異なる可能性がありますし、50代の奨学金返還の延滞者のすべてが、20代前半で大学を卒業し不遇の社会人生活を送ってきたとも限りません。それでも50代になっても奨学金の追われ、さらに延滞をしている人たちがいるという事実に衝撃を覚えます。

 

労働者福祉中央協議会『奨学金や教育負担に関するアンケート調査』によれば、日本学生支援機構の奨学金を借りた人の借入総額の平均は324万3,000円、毎月の平均返済額は1万6,880円。その返済さえも難しいというわけです。

 

厳しい受験戦争を勝ち抜き大学に入学するも、バブル崩壊による就職氷河期によって、大卒に関わらず正社員になれず、いまだに月々1万5,000円強の奨学金返済の見通しも立たない……。

 

そんな就職氷河期で不遇の時代を過ごしてきた50代。10年ほど経てば、年金が頼りの暮らしになりますが、老後生活は年金と貯蓄の取り崩しで生計を立てるというのが一般的。そんな、一般的な老後も手に入れることができない……そんな危機に、氷河期世代の50代は直面しています。