近年認知度が上がってきた「FIRE」。経済的自立に憧れ、目指す人が増えています。しかし、実現できるのは、投資の本質を理解できた人だけなのです。本記事では、FIREを目指す人に向け、投資資源としての「時間」の重要性を取り上げます。自身も会社員として勤務しながら、複数の資産運用を経験・実績を上げてFIREを目指す、株式会社日本財託の岩脇勇人氏が解説します。
経済的自立を手にする投資家は「時間の重要性」を理解している

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資産形成における最も重要な資源は「時間」

経済的に独立した状態で、早めにリタイアすることを意味する「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」。これを達成するまでのアプローチは、人によってさまざまです。

投資によって利益を求める上では共通した公式があります。

 

それは「資本 × 利回り × 時間 = 利益」というものです。

 

「投資」と聞くと、多くの方は「利回り」に注目しがちです。当然、利回りはその投資の効率性を測るモノサシであり、投資を語るうえでは切っても切り離せない重要な要素のひとつです。しかし、資本(投資元本)が大きくなければ、いくら利回りが高くても、目立った利益にはつながりません。

 

もし利回りが10%あっても、資本が10万円しかなければ、利益は1万円にすぎません。

 

また、投資期間が短ければ複利(元本と利息の合計額に、さらに利息がついていくこと)の効果も得られず、これもまた、経済的自立を目指して早期退職できるほどの利益にはつながりません。

 

ちなみに「高い利回りを求める」ことは、必然的に「高いリスクを背負う」こととイコールになります。投資の世界では、リスクとリターンは必ず比例する関係にあるからです。

リスクの抑制と、効率的な利益獲得に不可欠な存在

では、リスクを抑え、効率よく利益を求めるにはどうすればいいか。

 

それには、「投資元本」と「時間」を最大化すればよく、とくに「時間」は別格に重要な要素だと筆者は考えています。

 

時間とは、すべての人に平等に与えられ、かつ、刻一刻と確実に減少していく、極めて貴重な投資資源です。どんな人であっても、過去の時間を取り戻し、活用することは不可能なのです。

 

貯金に例えると、わかりやすいかもしれません。

 

あなたが、10年後に1,000万円の貯金を作ることを目標にしたとします。この場合、年間100万円、つまり、ひと月で8万3,000円程を貯金する必要があります。仮に、2年間貯金のスタートが遅れて、8年で1,000万円を貯めなければならない場合、年間で125万円、つまり月に10万円以上の貯金が必要となります。2年という時間を失ったことによって、毎月1万7,000円もの追加負担が発生したということになります。

 

同じ目標を掲げるにしても、残された投資期間によって、その難易度は大きく変わるのです。

 

利回りは、リスクを背負えば求めることができます。資本も、それまでの蓄財があればカバーできるかもしれません。しかし「時間」は、だれがどう足掻いても、巻き戻すことはできません。

時間の重要性を理解した先に、経済的自立が見えてくる

投資・資産形成において、「資本」も「利回り」も「時間」も、欠かすことのできない要素ではありますが、ではどれが最も重要かと問われれば、筆者は迷わず「時間」と答えます。

 

もちろん、手あたり次第に片っ端から投資・運用してしまっては、あまりにもリスクが高すぎます。

自分にどのような資産形成が合っているのか、まずは情報収集からはじめることも、豊かな将来に向けた大切な一歩となるでしょう。

 

そしてその先に、経済的自立の達成、あるいは早期リタイアの実現が見えてくるかもしれません。

 

 

株式会社日本財託資産 コンサルティング部 マネージャー
岩脇 勇人