日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は国土交通省から発表された、最新の「基準地価」を見ていきましょう。
2年連続で基準地価下落…「勝ち組」と「負け組」地域格差が鮮明に ※画像はイメージです/PIXTA

地方と大都市中心部で「基準地価」の下落が顕著

一方で下落率の最も高かったのが「熊本県球磨郡球磨村大字渡乙字入枝」で年比19.2%の下落。続いて「大阪府大阪市中央区宗右衛門町」で前年比18.50%の下落でした。前者は熊本市中心部から車で1時間30分強の山間部。後者は大阪の象徴のひとつである道頓堀沿い。過疎化が課題の地域のみならず、不動産価格が高騰・高止まりしていた、大阪や東京などの大都市中心部で地価の下落が顕著になっています。

 

【令和3年「地価調査」対前年下落率上位10】

1位「熊本県球磨郡球磨村大字渡乙字入枝1591番2」-19.20%

2位「大阪府大阪市中央区宗右衛門町46番1外」-18.50%

3位「大阪府大阪市中央区難波3丁目1番1」-16.60%

4位「熊本県球磨郡球磨村大字一勝地甲字友尻77番」-16.10%

5位「福島県いわき市平中平窪西高砂3番8」-15.10%

6位「福島県いわき市平下平窪3丁目4番5」-14.20%

7位「熊本県人吉市九日町114番2」-12.30%

8位「岐阜県高山市上三之町51番」-10.90%

9位「京都府京都市伏見区深草稲荷御前町89番」-10.60%

10位「岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯字家上634番2外」-10.20%

 

出所:国土交通省「令和3年地価調査」より

2021年「住宅地の基準地価」上昇率と下落率

持ち家の人であれば、地価は自分たちの家の評価に関わってきますし、住宅購入を考えている人も、購入金額を左右するものなので気になるところ。そこで住宅地に絞って、今年の「基準地価」を見ていきます。

 

「住宅地の基準地価」の上昇率…No.1は「北海道北広島市」

上昇率でトップになったのは、全用途第2位だった「沖縄県宮古島市城辺字保良村内」で前年比22.90%の上昇を記録。海岸線まで数百メートルと穏やかな雰囲気のエリアで、平米単価は5200円と、リゾートライフを考えたい人にもぴったりの水準です。

 

そして2位となったのが、全用途でも3位の「北海道北広島市共栄町4丁目」。100位までを見ると、「北海道」が71地点。北広島市のほか、江別市や恵庭市など、札幌のベッドタウンといわれている地域が多くラインクイン。札幌市の地価高騰により、その近郊で値ごろ感が増したことが要因だと考えられます。

 

【令和3年「住宅地の地価調査」対前年上昇率上位10】

1位「沖縄県宮古島市城辺字保良村内507番」22.90%

2位「北海道北広島市共栄町4丁目8番23」19.20%

3位「北海道北広島市若葉町3丁目3番4」18.80%

4位「北海道北広島市稲穂町東6丁目1番14」18.70%

5位「北海道虻田郡倶知安町字樺山65番132外」17.40%

6位「北海道恵庭市黄金北4丁目12番2」17.10%

7位「北海道恵庭市柏木町3丁目549番147」16.80%

8位「北海道石狩市花川南1条2丁目187番」16.00%

9位「北海道江別市野幌東町43番16」15.70%

10位「北海道石狩市花川北6条2丁目101番」15.60%

 

出所:国土交通省「令和3年地価調査」より

 

「住宅地の基準地価」の下落率…東京近郊でも下落幅の大きな住宅地が

続いて、住宅地で最も下落率の大きかったのが、全用途トップの「熊本県球磨郡球磨村大字渡乙字入枝」。100位までには「北海道」の37地点、「兵庫県」23地点など、過疎化が課題の地域のほか、東京近郊でも「東京都東大和市湖畔」や「東京都日野市平山」など、郊外で交通利便性に課題がある地域が並んでいます。

 

【令和3年「住宅地の地価調査」対前年下落率上位10】

1位「熊本県球磨郡球磨村大字渡乙字入枝1591番2」-19.20%

2位「熊本県球磨郡球磨村大字一勝地甲字友尻77番1」-16.10%

3位「福島県いわき市平中平窪西高砂3番8」-15.10%

4位「福島県いわき市平下平窪3丁目4番5」-14.20%

5位「東京都東大和市湖畔二丁目1044番82」-8.50%

6位「福島県郡山市字十貫河原56番22」-8.00%

7位「東京都日野市平山六丁目27番15」-7.50%

8位「北海道留萌市沖見町6丁目36番65」-7.30%

9位「兵庫県赤穂郡上郡町上郡字丸尾上ミ470番2」-7.30%

10位「岩手県九戸郡軽米町大字軽米第4地割字蓮台野47番9外」-7.10%

 

出所:国土交通省「令和3年地価調査」より

 

全国的に2年連続の下落となった「基準地価」。そのようななか、開発が著しい地域、新しいライフスタイルを模索するなかで注目された地域は地価が上昇、過疎化など課題を抱える地域は大きく下落。このコロナ禍、地価においては地域格差が広がる結果となっています。