日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は国土交通省から発表された、最新の「基準地価」を見ていきましょう。
2年連続で基準地価下落…「勝ち組」と「負け組」地域格差が鮮明に ※画像はイメージです/PIXTA

「基準地価」公表…春に発表された「公示地価」とどう違う?

国土交通省が7月1日時点の「基準地価」を発表し、全国の全用途平均は前年比0.4%下落と、2年連続でマイナスとなったことが大きく報じられました。

 

そもそも地価は「基準地価」のほか、「公示地価」や「路線価」などいくつかあり、発表ごとにニュースになります。なにが違うのでしょうか。

 

「公示地価」は、毎年1月1日時点の地価を国土交通省が取りまとめて3月下旬ごろに公表しているもの。

 

「路線価」は、毎年7月1日に国税庁から発表されるものであり、「公示価格」を基にしています。大きく相続税や贈与税を算定するための「相続税路線価」と、固定資産税を算定するための「固定資産税路線価」の2つがあり、前者は「公示地価の8割」、後者は「公示地価7割」が目安となっています。

 

前出の「基準地価」は、正式には「都道府県地価調査」といいます。「公示地価」の調査主体は国土交通省ですが、「基準地価」の調査主体は都道府県。春に公表されるのが「公示地価」、その半年後の秋に公表されるのが「基準地価」と考えていいでしょう。

 

「公示地価」は不動産取引の活発な都市圏で調査地点が多く、地方は少ない傾向にあり、その点、「基準地価」は地方でも調査地点が確保されています。

2021年「基準地価」価格、上昇率のNo.1は?

基準地価が最も高かったのは「東京・銀座、明治屋銀座ビル前」

前出のとおり、コロナ禍で「基準地価」は2年連続で下落とされていますが、その下落幅は縮小しています。そのようななか、最も高い地価を記録したのが、「東京都中央区銀座二丁目2番19外」。東京・銀座の「明治屋銀座ビル」前で、16年連続のトップとなりました。その価格は、1平方メートルあたり3950万円。前年と比べ3.7%の下落でしたが、もはや笑ってしまうほどの地価です。

 

100位までを見てみると、「東京都」が71地点、「福岡県」が7地点、「大阪府」「愛知県」が6地点、「神奈川県」が4地点、「京都府」が3地点、「北海道」「宮城県」「兵庫県」が1地点と、東京一強の様相を呈しています。

 

「基準地価」対前年上昇率No.1は「沖縄県豊見城市」…北海道、福岡も注目

前年との上昇率を見てみると、トップは「沖縄県豊見城市字豊崎3番62」。那覇空港から車で13分、那覇市中心部からも車で25分ほどの地点で、対前年比28.9%の上昇を記録しました。

 

3位になったのは「北海道北広島市共栄町4丁目」。北広島市はプロ野球チーム北海道日本ハムファイターズの新球場を中心としたボールパークの建設で注目が集まる地域で、前年比19.2%の上昇を記録しました。100位までを見てみると、「北海道」が61地点、「福岡県」が23地点など、コロナ禍で注目された“元気な地方”で地価の上昇が目立っています。

 

【令和3年「地価調査」対前年上昇率上位10】

1位「沖縄県豊見城市字豊崎3番62」28.90%

2位「沖縄県宮古島市城辺字保良村内507番」22.90%

3位「北海道北広島市共栄町4丁目8番23」19.20%

4位「北海道北広島市若葉町3丁目3番」18.80%

5位「北海道北広島市稲穂町東6丁目1番14」18.70%

6位「福岡県糟屋郡志免町別府北3丁目667番2外」18.70%

7位「北海道虻田郡倶知安町字樺山65番132外」17.40%

8位「北海道恵庭市黄金北4丁目12番2」17.10%

9位「北海道恵庭市柏木町3丁目549番147」16.80%

10位「北海道北広島市大曲工業団地3丁目5番」16.70%

 

出所:国土交通省「令和3年地価調査」より