わが子に中学受験をさせたい保護者は、子どもを塾に入れるタイミングなど、多くの悩みを持っています。今回、「最難関中学に合格するために、何歳から塾に入れるべきか?」といった保護者の悩みに対する、灘中合格者16年連続日本一の塾「浜学園」塾長、橋本憲一氏の意外な回答をとおして、子どもの「学ぶ姿勢」をつくる重要性と難しさについて見ていきます。※本連載は橋本憲一氏の著書『灘中に合格する子は学力のほかに何を持っているのか: ワンランク上の志望校に受かるための能力と習慣』(ポプラ社)より、一部を抜粋・再編集したものです。
「子どもは何歳から塾に入れるべき?」…名門塾塾長の「意外な回答」

家庭学習の環境づくり

家庭学習の際に、お母さんの目の届くリビングでさせるべきか、一人で子ども部屋でさせるべきか、これもご両親にとっては悩ましい問題だと思います。

 

ベストな勉強場所というのは子どもによってさまざまで、勉強する子どもの学年によっても違いますし、きょうだいがいるのかいないのか、いるとしたら年上なのか小学生なのか幼児なのか……と、家庭の事情によっても違ってくると思います。

 

ただ、リビングというのは基本的には勉強をする場所ではないので、子どもにとっては避難所的な感覚であったほうがいいと、私は思います。

 

ただし、「リビングで勉強をする」=「常に監視の目がある」ということ。子どももお母さんがときどき見ているということを、自分の勉強のモチベーションにして頑張ろうとします。

 

勉強の習慣づけをするためには、これもひとつの方法論ですし、小1生〜小3生くらいまでの子どもには、有効だと思います。実際に低学年のうちは、お母さんの声かけや、自分を見ていてくれるという喜びが、子どもの勉強するエネルギーになります。

 

将来、灘中のトップを走るような賢い子どもでも「偉いな。これ解けたんだ!」という言葉がとても励みになるのです。

 

ですが、リビングではお母さんの監視の目が光っているだけでなく、小さなきょうだいが走り回ったり、ピンポーンとチャイムが鳴って宅配便が来たり、携帯電話が鳴ったりして、勉強している子どもにとってはなかなか落ち着けない環境でもあります。

 

そこで、リビングは家庭学習の助走期間として利用し、子どもを見ていて家庭学習の習慣が少しついてきたなと感じたら、次のステップは1週間のうち3日間は子ども部屋でさせ、4日間はリビングでさせるというような形で徐々に独り立ちさせていくのです。

 

とは言え、子どもを一人にした途端、ずっと遊んでばかりで、まったく勉強が進まなくなった、ということもあります。そこは過渡期と受け入れて、徐々に勉強に向かわせるように、お母さんが上手にリードしてください。そしてときどき子ども部屋をのぞいて「すごいね! 頑張ってるね」とポジティブな声かけをお願いします。

 

橋本 憲一

浜学園

学園長

 

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