香港を発端に起こった世界的株価大暴落「ブラックマンデー」を過ぎた1988年ごろから、多くの人たちが好景気を実感しだします。日経平均株価が38,957円の史上最高値を記録した1989年、元号が昭和から平成に変わった年の会社員の平均給与は402万4000円と、初めて400万円を突破しました。
翌年の1990年、湾岸危機、公定歩合の急激な引き上げなどにより、日経平均は同年10月に一時2万円割れにまで暴落しますが、それでも会社員の平均給与は1992年まで上がり続け、1993年には455万5000円に。1993年に前年割れを起こすも、1997年には467万3000円にまで上昇します。
団塊の世代が50代に突入するのはちょうどそのころ。子育てもひと段落し、住宅ローンの目途もついてきた……そんな人も多くなってくるころでしょう。団塊の世代が60歳で定年を迎えるのは2007年から2011年にかけて。ちょうどそのころ、会社員の平均年収は前年割れを連続し、2009年には405万9000円と、400万円割れ直前まで落ち込むことになります。
団塊の世代が50代だったころ…思い描いていた老後は?
毎年給与が増え続け、そしてバブル景気では日本中が浮かれた……そんな良き時代を生きた団塊の世代の人たち。老後に備えて貯蓄を本格化していくという段階に入ると、戦後初めて給与が減るという時代に直面します。
団塊の世代を含む全国の中高年者世代の男女を追跡調査している、厚生労働省『中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)』の第1回調査(2005年実施、団塊の世代54~58歳)によると、男性の92.8%が収入となる仕事をし、55.3%が「正規の職員・従業員」として、20.0%が「自営業主」として、7.3%が「会社・団体等の役員」として活躍していました。
また「ひとつの企業・団体等の組織に概ね20年以上勤務している/または勤務していた」が30.1%、「勤め先は変わったが、同じ分野の仕事におおむね20年以上従事している/またはしていた」が16.8%と、長い間、同じ会社で、同じ職業で、実直に仕事をしてきた団塊世代の人たちの姿が垣間みることができます。
そんな50代だった団塊の世代の人々が思い描いていた「60歳以降の生活」について見ていきましょう。
60歳定年直後は「仕事を続ける=仕事で収入を得る」と考えていた人が7割弱。一方、65歳以降は「公的年金」に頼るだろうという人が7割弱と逆転しています。また定年直後は「退職金」が生活費の大きな支えになる一方で、定年後の生活に「預貯金」は欠かせないという認識だったことがわかります。
【Q.50代に聞いた「60歳以降の生活のまかない方」】
■60~64歳
仕事での収入(66.9%)
公的年金(32.1%)
預貯金の取り崩し(22.9%)
退職金(21.5%)
私的年金(12.9%)
■65~69歳
仕事での収入(30.2%)
公的年金(69.5%)
預貯金の取り崩し(23.9%)
退職金(12.3%)
私的年金(16.9%)
■70歳以降
仕事での収入(19.7%)
公的年金(71.9%)
預貯金の取り崩し(25.0%)
退職金(9.8%)
私的年金(16.0%)
出所:厚生労働省『第1回 中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)』より
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