西日本で最難関の誰もが知る超名門私立、灘中学校…この「灘中」に合格する子どもは、ほかの子どもたちと何が違うのか。本記事では、灘中合格者数16年連続1位を誇る塾浜学園の塾長である橋本憲一氏がこれまでの経験から感じた、灘中に「受かる子」と「落ちる子」の間にある学力以外の差について解説します。※本連載は橋本憲一氏の著書『灘中に合格する子は学力のほかに何を持っているのか: ワンランク上の志望校に受かるための能力と習慣』(ポプラ社)より、一部を抜粋・再編集したものです。
灘中に「受かる子」と「落ちる子」にある学力以外の決定的な差

子どもが自ら進んで勉強するためには「復習」が大事

そこで浜学園では、予習の時間をなくして復習主義を徹底しています。その目的のひとつは勉強に対する子どもの「負担感」の軽減です。

 

実際には復習だけでも結構なボリュームがありますから、彼らの肉体的な「負担」が減っているわけではありません。しかし、予習がないことは子どもたちに学びの楽しさを感じてもらううえで、とても大切な「心理的負担感」の軽減なのです。

 

灘中・灘高から東大理三に合格し、優秀な成績で卒業して医師になった浜学園OBの言葉でいまも私の心に強く残っているものがあります。「自分の勉強の根幹をつくったのは、浜学園で小6のときに復習の大事さを学んだこと。そして灘中に入って予習の大事さを学んだ」と。

 

中学生・高校生であれば予習も大事ですが、小学生というのはやりたいことがたくさんあって、目的意識というほど考えがしっかりしていない年齢です。

 

そんな彼らの勉強意欲を継続させようと思ったら、予習と復習のどちらに焦点をおくべきかといえば、それは復習だと私は思います。なぜなら子どもは「〇」が続かないとモチベーションが下がってしまうから。

 

これは、学校でも塾でも「勉強」に共通する特徴ですが、予習に重きをおくと、時間をかけている割に点が安定しないものです。おまけに1日の時間は決まっていますから、復習に費やす時間も減ってしまいます。

 

「×」が続いて「なにくそ。こんなことに負けないぞ!」と自ら奮起するような小学生は昔から決して多くありませんし、いまの時代、確実に減っています。

 

「〇」が続いて調子が上がってきたときに「もしかしたら、灘中行けるんじゃないの?」というお母さんのさりげない声かけで、「え? 僕、行けるのかも」とだんだんやる気を出してくるケースもあります。

 

小6生といえど、相手はまだ幼いところもある子どもたちです。中学受験までは復習というところに重きをおいて勉強を習慣づけ、そのなかで「学びの器」を手に入れてほしいと思います。

 

 

橋本 憲一

浜学園

学園長

 

 

灘中合格者を多数輩出!名門塾の学園長が中学受験ノウハウを語る
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