西日本で最難関の誰もが知る超名門私立、灘中学校…この「灘中」に合格する子どもは、ほかの子どもたちと何が違うのか。本記事では、灘中合格者数16年連続1位を誇る塾浜学園の塾長である橋本憲一氏がこれまでの経験から感じた、灘中に「受かる子」と「落ちる子」の間にある学力以外の差について解説します。※本連載は橋本憲一氏の著書『灘中に合格する子は学力のほかに何を持っているのか: ワンランク上の志望校に受かるための能力と習慣』(ポプラ社)より、一部を抜粋・再編集したものです。
灘中に「受かる子」と「落ちる子」にある学力以外の決定的な差

合格をつかみとる子どもたちが持つ「学びの器」とは

私が浜学園に携わるようになってすでに38年になりますが、毎年受験生を送りだして思うのは、同程度の学力があっても、合格する子どもと残念な結果に終わる子どもがいるということです。

 

まだ小学生ですし、入試は一発勝負ですから、当日体調がすぐれなかったり、精神的な緊張のあまり実力を発揮できなかったりというケースも、もちろんたくさんあります。

 

ただ、長年子どもたちと向き合ってきて感じるのは、最終的にしっかりと合格をつかみとるタイプの子どもには、学力のみならず「学びの器」が備わっているということです。

 

これは「勉強姿勢の器」ともいい、身につけた学力を自分自身でさらに高めていこうとする前向きな気持ちのことです。では、その器はどうしたらつくることができるのか?

 

私が重要に思うのはスタート時の学力ではなく、勉強の「習慣性」です。わが子に勉強習慣をつけさせるために試行錯誤しているご両親はたくさんいると思いますが、ぜひ覚えておいていただきたいのは、どんなタイプの子どもであれ、勉強をやる気になるのは自分の解答に「〇(マル)」がついたときだということです。

 

せっかく自発的に勉強を始めたのに「×(バツ)」が続いたり、久しぶりに向き合った問題が以前と変わらず正答できなかったり、模擬試験の成績が悪かったりすると、子どもたちのモチベーションは一気に下がってしまいます。

 

そして「僕はあかんのとちゃうか……」「私は勉強に向いてないんちゃうか?」と、勉強姿勢がネガティブになってしまうのです。大人から見れば些細な失敗でも、子どもにとって「×」の衝撃は大きいものです。

 

だから小学生の彼らをサポートするご両親や我々のような指導者たちは、なるべくしっかりと「〇」がつくような形に、彼らの勉強姿勢を整えてやらなければいけないのです。