新型コロナウイルスの蔓延により生活習慣を見直し、睡眠の重要性を再確認した人も多いでしょう。睡眠は免疫とも深い関わりがあることが判明しており、健康維持のためにもおろそかにしてはなりません。本記事は、スタンフォード大学医学部教授の西野精治氏が良質な睡眠を得る方法を解説します。※本記事は、『眠れなくなるほど面白い睡眠の話』(日本文芸社)より抜粋・再編集したものです。
スタンフォード大医学部教授が指南「誰でもぐっすり眠る方法」 (※写真はイメージです/PIXTA)

すぐに眠りたい人は「少量のお酒」が助けになるかも?

●アルコールには脳の興奮をしずめる効果がある

 

体は疲れているのにすぐに眠れない、といった悩みをよく耳にします。

 

とあるオペラ歌手は、少しでも早く寝つけるように、寝る前にアルコール度数の高いウオッカをショットであおると聞きます。眠れない夜お酒を飲む、いわゆる寝酒の習慣のある人は多いのではないでしょうか。

 

少量のお酒が寝つきをよくするという多くの研究報告があります。アルコールには、脳を興奮させる神経物質の働きを抑え、脳を落ちつかせる神経物質の働きを促す作用があるのです。

 

ただし、大量のアルコールは睡眠の大敵です。入眠は早くなっても、自然で深いノンレム睡眠は現れず、レム睡眠も減少するためです。夜中に目を覚ましやすくなり、睡眠時間も短くなる傾向にあります。利尿作用から尿意で目が覚めたり、脱水が起こりやすくなったりします。

 

また、アルコールは舌やのどの筋肉を麻痺させるので、気道が狭くなり、いびきや無呼吸の原因にもなります。就寝中に呼吸障害があると十分な酸素をとりこめなくなり、睡眠の質が下がります。

 

夜中によく目を覚ましたり、朝早くに起きてしまったりするなら、明らかに飲みすぎです。眠るためにお酒を飲むときは少量にして、眠気を感じたらすぐに寝るのがよいでしょう。

 

 

 

 

西野 精治
スタンフォード大学 医学部精神科教授・医学博士・医師
スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長
日本睡眠学会専門医、米国睡眠学会誌、「SLEEP」編集委員
日本睡眠学会誌、「Biological Rhythm and Sleep」編集委員