AI化、終身雇用の崩壊、コロナ不況……混沌としている世の中では「会社に頼らなくても生きていける力」を身につけることが大切です。今回は「先見力を身につけるために必要なこと」についてですが、一流の経営者が本を「おわりに」から読む行動に通じるものがあるとされています。詳しく見ていきます。※本連載は、金川顕教氏の著書『年収1億円の神ルール10』(ポプラ社)より一部を抜粋・再編集したものです。
一流の経営者は、なぜ本を「おわりに」から読むのか? (※画像はイメージです/PIXTA)

先見力を身につけるには、コツコツ行動することも必要

長期的投資と並んで必要なのは、積立です。積立とは、毎月同じ額のお金を払うということですが、これは投資だけに限った話ではありません。長期的に先を見通せば、今からコツコツ行動することが必要です。

 

投資の方法に「ドル・コスト平均法」という手法があります。

 

投資の世界で絶対に避けたいことは、最悪の状況に陥ることです。投資家の一番の理想は、当然、最高の状態で投資することです。

 

投資の世界での最悪の状況は、リーマン・ショックやコロナショックの前に株を買い、リーマン・ショックやコロナショックが起きたことで買った株が暴落することです。

 

一番高い時で買い、一番安くなるのが最悪だとしたら、一番安い時に買い、一番高いところで売るのが、投資の一番いい状況です。

 

しかし、こういった事態は、なかなか予測はできません。そこで最悪の状況を回避する方法として、この「ドル・コスト平均法」があります。これは一定の金額を毎月コツコツと長期的に投資していく方法です。

 

株のチャートというのは、日経平均だけを見るとそうでもないですが、アメリカの株、S&P500などは、長期的に見れば、右肩上がりに増えているものです。

 

 


短期的に見れば、一番安いのか、一番高いのかというのは日によって揺れ動きますが、マクロの視点で右肩上がりと考えるのであれば、1日も早く始めたほうが、利益が出ます。ですからこの「ドル・コスト平均法」の考え方では、株は1日でも早く始めたほうがいいのです。

 

そして、100万円を1回で100万円分買うのではなく、月5万円ずつ毎月定額で買っていけば、高いところで買うことにもなりますが、安いところでも買えるようになるので、できるだけ損をするリスクを減らすことができるというわけです。これがドル・コスト平均法の仕組みです。

 

先見力をつけるのには、このような長期的、しかも積立の目を持つことが必要です。

1つだけではなく、様々な分野に興味を持っておく

筆者が合格した公認会計士試験は、合格率は大体10%です。その年によって6%台から20%弱まで幅がありますが、受からない人や、合格を諦める人は、かなりの数に上ります。

 

そういう人たちは、最高の状態を得ることだけを考え、最悪の状況を想定したり受け入れたりすることが、全くできません。

 

統計の話になりますが、公認会計士試験に1回で合格する人は1%です。つまり、100人に1人です。合格率は10%ですから、100人中10人の合格者のうち9人は、必ず1回以上落ちている人です。実際、合格までに3〜5回受験するのが一般的です。

 

1回落ちるのは当たり前ですから、「1回目は落ちたけど、次もやろう」という前向きに捉えることも、「積立」の思考の1つです。

 

資格取得勉強のように知識を積み立てたり、人間関係を積み立てたり、今、自分が働いている目の前の仕事を全力でやることです。

 

株式のように、調子がいい時と悪い時もあるでしょうが、長期スパンで見れば、それが積み上がり、必ず右肩上がりとなっていくのです。

 

また、同時に重要なのは、一つの分野だけに特化して積み立てていくのではなく、さまざまな分野に興味を持つことです。

 

投資の世界では、分散投資、ポートフォリオと言いますが、いろいろな金融商品を分けることにより、リスクを低めます。例えば個別株を1個持つだけの場合は、倒産したりするなどのリスクがあります。そこでいろいろなものに投資をすることで、リスク回避をするわけです。

 

金川 顕教

公認会計士