AI化、終身雇用の崩壊、コロナ不況……混沌としている世の中では「会社に頼らなくても生きていける力」を身につけることが大切です。今回は「先見力を身につけるために必要なこと」についてですが、一流の経営者が本を「おわりに」から読む行動に通じるものがあるとされています。詳しく見ていきます。※本連載は、金川顕教氏の著書『年収1億円の神ルール10』(ポプラ社)より一部を抜粋・再編集したものです。
一流の経営者は、なぜ本を「おわりに」から読むのか? (※画像はイメージです/PIXTA)

普段から「10年以上先」を見据えた行動を意識すべき

AI、デジタル化など、ここ数年で社会はめまぐるしく変わっています。さらに、ここ1年では、コロナが流行し、その後のウィズコロナ時代と、全く先の見通せない時代となりました。

 

2019年の日本人の平均寿命が、女性が87.45歳、男性が81.41歳と過去最高を更新しています。2007年以降生まれの子どもの3人に1人、もしくは2人に1人は、100歳以上生きるとも言われています。

 

10年後、20年後、30年後、40年後、50年後の日本の状況、世界の状況は、今後予測のつかない方向にどんどん変わっていきます。

 

人生100年時代と言われる現代で、私たちはどうやって生き残っていけばいいのでしょうか。

 

そこで、このウィズコロナを生き抜くうえで、最初にお伝えしたいのは、長期的な視点を持つという「先見力」です。しかも、3年先、5年先といった短期的な先見力ではなく、最低でも10年後を見据えられる先見力が必要です。

 

みなさんは、日々の生活の中で、10年以上先を見据えた行動を意識しているでしょうか?

 

勉強、仕事、資格、人間関係、人脈、趣味、健康、コンディション管理など、少しでも自分が10年後、どうしていたいかを考えたことはありますか?

なりたい自分を想像し、逆算思考で行動することが大事

では、先見力とは何かを考えた時、それは分かりやすく言えば、何に「投資」をするかを長期的に考えること、つまり投資的な視点、それも長期的な視点を持つことだと思っています。

 

証券会社に勤めている方や、生命保険や金融に携わっている人であれば、多分お分かりかとは思いますが、基本的に投資を成功させるには、「長期投資」が必須となります。短期や中期ではなくて、長期投資をすることです。

 

そのいい具体例になるのが、例えばS&P500、日経平均やJ.P.モルガンが出しているようなチャートです。

 

例えばJ.P.モルガン・アセット・マネジメントが出している1950年から2019年の株式投資の投資期間と年平均リターンの範囲という表があります。投資期間が1年の場合のリターンは、マイナス39%からプラス47%まで大きな幅があります。つまり、たくさん損をする人もいるし、たくさん得する人もいるということです。

 

しかし、20年間投資していた場合のリターンは、プラス6%からプラス17%です。つまり、投資期間が長くなるとリターンの触れ幅が小さくなって安定するというわけです。投資期間を長くすれば、データ上では、誰1人として損をしていないことになります。

 

 

筆者は別に、投資の話をしたいわけではありません。

 

簡単に言うと、小学校、中学校、高校と、きちんと長期的な目線で勉強をしている人は、いわゆる偏差値の高い大学に入れますし、就職活動にしても、30歳以降のキャリアアップや転職まで視野に入れて大学生活を送っている人は、今後の人生も安定しているでしょう。これが長期的、投資的視点です。

 

しかし、若い学生で、そこまで長期的な視点で物事を考えられる人は、ほとんどいません。目の前のことに一喜一憂をするだけで、5年後、10年後については、何も考えていない人が大多数ではないでしょうか?

 

筆者は公認会計士試験に大学在学中に合格をしましたが、これも長期的投資です。大学卒業後の人生を見据えて、大学と並行して会計士になるための学校に通い、1日16時間の勉強を3年半続けました。

 

よく、在学中に英検や宅建など、比較的少ない時間で取れる資格ばかり取る人がいますが、ほとんどの人は、その資格を取った後、その資格を何に役立てたいのか? という視点が抜けています。目先の短期的な投資しか考えていないのです。

 

例えば、英検を受けることは無駄とは言いませんが、英検の級を取得した後に、全く英語を使わない生活をするのであれば、お金と時間を使って、英検に投資する意味はないでしょう。

 

ですから、先見力に不可欠なのは、今年、来年といった短期的な視点ではなく、5年後、10年後を視野に入れた逆算思考による見通し、つまり長期的な投資の視点なのです。

 

本を読む時は、一般的に「はじめに」から読みますが、一流の経営者は、「おわりに」から読んでいます。本のゴールを見据え、目的がはっきりした上で冒頭から読むのです。

 

さらに本を選ぶ時も、「何となく」手に取るのではなく、例えばテレアポの営業のクロージングの部分が弱いから、それを習得する知識が身に付く本を読もうと思って本を選んでいます。

 

そして、目次を見て、自分が欲しい情報が掲載されている章だけを読みます。常に「目的」と「目的達成」のための行動を行っていますが、これも長期的投資の1つでもあるのです。