コロナ禍は不動産価格への影響だけでなく、住まいに求められるものにも影響を及ぼしている。
リクルートホールディングスが毎年発表するトレンド予測の2020年版「住まい領域」では「職住融合」が取り挙げられた。本記事では職住融合とは何かといったことを解説していく。

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リモートワーク導入により街選びの選択肢が広がる

不動産の価格は、利便性の高い駅から徒歩どのくらいでつけるかといった、立地に大きな影響を受けるのが一般的です。

 

 

一方、コロナ禍によりリモートワークの利用が拡大したことにより、会社に通う必要性や頻度が減り、必ずしも通勤の利便性を考えなくてもよくなっています。

 

株式会社リクルートホールディングスの「2020年のトレンド予測」によると、「リモートワークをきっかけに引越しを検討したか」という質問に対し、53%の人が実際に引越しを実施したり、引越しを検討したり、もしくは希望したりしていることが分かります。

 

また、同データでは「リモートワークが導入された場合、通勤時間が長くなっても引越しを検討するか」という質問に対し、57%の人が引越しにより通勤時間が長くなること許容しています。

 

このように、リモートワークの利用が拡大することで、会社の近くに住む必要性が薄れ、街選びの選択肢が増えることにつながります。

都心の駅徒歩1分あたりの価格差は首都圏坪4.0万円

ここでは、駅からの距離が不動産の価格に与える影響について見ていきましょう。

 

少し古いデータですが、東京カンテイのプレスリリースによると、首都圏においては、駅徒歩1分あたりの価格差は新築で2.8万円/坪、中古で4.0万円/坪となっています。

 

なお、近畿圏では新築0.5万円/坪、中古1.2万円/坪、中部圏では新築0.4万円/坪、中古0.6万円/坪と都心程、駅徒歩の近さの影響が大きいことが分かります。

 

また、三菱UFJ不動産販売の2017年のデータによると、東京都において最寄り駅からの距離が1~5分の中古マンションの平均価格は4,486万円となっているのに対し、6~10分で4,204万円、11~15分で3,454万円、16分以上で2,825万円と駅徒歩と中古マンションの価格にきれいな相関関係があります。

今後リモートワークが定着すれば郊外の土地の人気が高まる可能性がある

一方で、コロナ禍によりリモートワークを実施する企業が増え、また今後コロナ禍が収束した後も引き続き、リモートワークを導入する企業が一定数の割合でいる場合は、先述したような、駅からの徒歩が近いほど不動産の価格が高くなる傾向が弱まる可能性があります。

 

郊外の土地であれば、都心にある土地と比べて安くで広い不動産を購入できる可能性が高く、また住む環境としても自然豊かな場所で生活を送れるといったメリットが考えられます。

 

こうしたことにより、コロナ禍の前と後で不動産の価格に対する考え方が変わる可能性があり、これまで見向きされなかった郊外の不動産にスポットライトが当たる可能性があるといえるでしょう。

 

なお、株式会社エイチーム引越し侍が2020年6月~7月に実施したアンケートによると、「地方への移住に興味があるか」という質問に対し、「興味がある」、「今回の引越しで移住する」など前向きな回答をした人の割合は3割弱に上ったということです。

 

特に人気の道府県は沖縄県、北海道、神奈川県となっています。

 

こうした道府県に移住しながら東京都に本社のある企業でリモートワークで働くといったスタイルが定着すると、都心の地価にも大きな影響を及ぼすことが考えられるでしょう。

まとめ

コロナ禍により不動産の在り方が変わる可能性があるというテーマについてご紹介しました。

 

都心で働く人は、リモートワークの導入により出勤する必要が無くなったり、その頻度を少なくしてよくなったりしたことで、引越しや移住を検討する人が一定数いることが分かりました。

 

こうしたことがすぐに不動産価格に大きな影響を与えることは考えにくいですが、長期的に見れば、都心の不動産価格が安くなり、郊外や地方の不動産にスポットライトが当たる可能性もあるでしょう。

 

気になる方は、今後の不動産価格の動きについて定期的に調査してみてはいかがでしょうか。

 

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公開日時点の法令に基づき、不動産にかかわる資産形成について説明しています。個別の事例については、所定の要件を欠く場合があります。