患者さんの細胞を利用する「培養幹細胞治療」は、変形性膝関節症に対する新しい治療法のひとつです。日本国内でも扱う医療機関がここ数年で増えていて、急速な広がりを見せるこの最新治療、実際に痛みにどの程度効くのか? なぜ効くのか? ひざ痛の解消によって患者さんはどんな変化を体験しているのか? 幹細胞治療2,300症例以上※の実積を持つクリニックグループから、大宮ひざ関節症クリニック大鶴任彦院長に解説いただきます。
※2015年3月〜2020年2月現在(ひざ関節症クリニックグループ調べ)

なぜ必要? 培養幹細胞治療の位置づけ

変形性膝関節症の初期は安静、薬物療法、運動療法に代表される保存療法を、進行期から末期にかけては手術治療が選択されるのが一般的です。しかし保存療法の効果がなく手術治療の希望がない患者さんに対して、保存療法と手術治療の間を補完する位置づけとして培養幹細胞治療があり、我々のクリニックでは自由診療として提供しています。

 

 

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幹細胞がひざの痛みにどのような効果があるのか?

再生医療の世界でながらく研究されている素材のひとつが幹細胞です。ヒトの体にはもともと幹細胞が存在しているのですが、我々が培養幹細胞治療で用いるのは、皮下脂肪の中に存在している幹細胞です。その幹細胞がなぜ変形性膝関節症の治療に使われているかというと、痛みや炎症を抑える作用があるからです。

 

変形性膝関節症は、軟骨のすり減りが影響して関節を覆う組織の膜が炎症を起こし、痛みが発症します。ヒアルロン酸注射という関節の潤滑剤を注射しても、痛みがぶり返したり効かなかったりする症例に対して、培養幹細胞は行われます。幹細胞は自己複製能、多分化能を持つため、病変部を修復し、炎症を緩和させる作用が期待されています。

 

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進行した変形性膝関節症への効果はいかに

◆治療される患者さんは平均67.2歳で、そのうち進行期以降は全体の93%

変形性膝関節症は年齢が高くなるにつれて多くなります。ひざ関節症クリニックグループで培養幹細胞治療を受けて、その治療経過を1年間観察できた107人の患者さんの平均年齢は67.2(44~92)歳でした。そのうち進行期以降の患者さんは全体の93%でした。つまり、より病状の深刻な患者さんに培養幹細胞治療が行われていることがわかります。

 

そんな当クリニックの治療成績の経時的な変化をご覧いただきましょう。まず痛みの体感のレベルを表すVAS-pain*(痛みの体感を【0:痛みなし】〜【100:痛みが最大】で数値化したもの)を調査したところ、注射前と比較して1年後は半分程度まで低下していることがわかりました。以下は2020年3月時点でのVAS-painのグラフです。

 

 

*VAS-pain:Visual Analogue Scale - pain

 

◆一時的な効果ではなく、改善が1年間続いている

さらにこの治療がどの程度奏効していたかを示す、OMERACT-OARSI responder criteria*で定義される奏効率の平均データを調査しました。当グループでは治療1年後まで経過を追っていますが、注射3か月後に全体の6割の患者さんが奏効しており、その程度は1年後まで持続していることがわかりました。以下は2020年3月時点での奏効率(%)のグラフです。

 

 

*OMERACT- OARSI:Outcome Measures in Rheumatology - Osteoarthritis Research Society International

 

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培養幹細胞を使う理由は、効果持続の他にもある

◆生きている細胞だからこそ、痛み治療の先の未来も描ける

痛みが軽減した状態が1年間持続し続けるのは、薬物などとは異なり、自己複製能、多分化能を持った細胞を注射する点がポイントと考えています。ここがヒアルロン酸注射にない作用効果といえます。軟骨などの特定の組織に分化し、組織の修復に関与することも期待されています。まだ仮説の域ではありますが、そうした期待も幹細胞だからこそ抱くことができるのです。

 

◆多くの幹細胞を体の負担を抑えて投与できる培養法

「培養幹細胞治療」は、まず患者さんのお腹の皮下脂肪を吸引して、そこから幹細胞だけを取り出して培養し(体外で増やし)、ひざ関節に注射する治療法です。実は、培養しなくても変形性膝関節症の痛みの改善は得られます。ただその場合、1回の治療に必要な幹細胞を確保するのに300〜400mLの脂肪を吸引する必要があり、入院するまでではないにしても体に負担がかかります。

 

その点、体外で何百個、何千個と細胞を増やせるなら、ごくわずかな脂肪で治療1回分以上の幹細胞が得られます。当院でも20mLと、スプーン1杯分ほどの量しか採取していません。より体への負担は少なく、より多くの幹細胞をひざ関節に注射できる方法というわけです。

 

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「培養幹細胞治療」で得られる様々な変化

◆スクッと立ち上がり、杖いらずの生活を獲得することも

ひざが痛いと、立ち上がったり座ったり、歩いたり、階段をつかったりする日常的な行動が不自由になってしまいます。当院でも、多くの人が当たり前と思っている動きがスムーズにできない患者さんがたくさんいます。ただ、治療で痛みが軽減した方の中には、立ち上がるときに壁の支えがいらなくなったり、ヨタヨタと振り子のような歩き方でなくまっすぐ歩けるようになったりなど、見た目にも動きが改善されることは多々あります。杖がなくても歩けるようになった方もいらっしゃいました。

 

◆痛みがなくなれば、生活の質は良くなる

何をするにも時間がかかる…。やる気が起きない…。好きなゴルフやテニスができない…。仕事もリタイヤするしかないのか…。変形性膝関節症の患者さんからは、こうしたお悩みをよく伺います。やりたいことがある、やらなければならないことがある、と強く思っている方ほど、フラストレーションは大きいはずです。その分、ひざの痛みが軽減して動きやすくなったときには、喜びも大きいはずです。テレビカメラマンの男性は「まだ現役で仕事が続けられる」、主婦の女性は「家事が短い時間でこなせるようになった」、ボランティアを続けてきた女性は「もっと思い切りできる」、空手家の男性は「これでずっと空手ができる」、そう笑顔で話していました。

 

こうした変化で向上するのがQOL、生活の質です。痛みが軽減すれば、好きなことに取り組みやすくなれます。「培養幹細胞治療」は、痛みの軽減とともに、生活の質の向上や維持という付随した効果が期待できるのです。

 

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治療は早いほど効果的

「培養幹細胞治療」は自由診療での提供なので、費用の面から考えると、痛みをこらえるだけこらえて、どうしようもない状態になるまで粘ってから、治療を検討される患者さんが多いかもしれません。しかし治療データからは、末期よりも進行期、進行期よりも初期の方が、治療効果が大きいことがわかっています。ですから「早いほど効果的」であるといえます。ただどなたでも確実に効果がお約束できるわけではありません。なかには期待した効果が得られない結果、人工関節置換術を受ける可能性もゼロではないことは付記させていただきます。

 

そういうケースも経験しているからこそ、余計に早い段階でこの選択肢を知って欲しいと思うのです。

 

どんな生活を送りたいか、妥協できないことはなんなのか、そうしたご自身のこだわりも意識しつつ、色んな選択肢からひざ治療を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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