現役世代も知っておきたい変形性膝関節症の最新治療とは?

変形性膝関節症の治療で、薬物療法や運動療法では効果がないけれど、手術治療の希望がないケースにおいて、最近では患者さんの血液成分や細胞を利用した新しい治療法が注目されています。この変形性膝関節症の最新治療はどういった方法で、どのような効果が期待できるのか。この分野の専門家である大鶴任彦先生(大宮ひざ関節症クリニック 院長)に解説いただきました。

ひざの最新治療とは?

変形性膝関節症の治療は、その進行時期によって異なります。

 

初期には安静や薬物療法(内服やヒアルロン酸注射)、筋トレなどの運動療法に代表される保存療法を、進行期から末期にかけては手術治療の適応となるのが一般的です。

 

しかし、保存療法で効果が得られず、手術治療を希望しない患者様には、これまで治療の選択肢がありませんでした。そんな方々は、ただ困り果てるしか成す術がなかったのです。

 

そんな中、保存療法と手術治療の間を補完する位置づけとして、「再生医療」と称される治療カテゴリーが選択肢の一つとして加わり、近年新たな可能性が示唆されています。当院でも取り扱う血液を原料とした製剤や細胞治療などは、2014年に施行された「再生医療等安全性確保法」の範疇に組み込まれている治療になります。

 

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ひざの最新治療の具体例

どういった治療か具体的にイメージいただけるよう、現時点ですでに実用化されている治療法をご紹介したいと思います。

 

◆培養幹細胞療法

患者さんから採取した脂肪組織(20cc)を採取し、そこから、他組織への分化機能を持つ幹細胞のみを抽出します。これを培養し、増殖させたものをひざに注入します。多数の幹細胞の働きで、組織の修復や痛みの抑制が期待できます。

 

 

 

◆PRP療法

患者さんの血液から多血小板血漿(=PRP)という成分を抽出し、膝に注入します。血小板から分泌される成長因子による、組織の修復や抗炎症・除痛効果を期待した治療です。

 

PRPをベースとして作られるPRP-FD療法もあります。これは、一部の成長因子を安定して抽出することが可能であり、かつ常温保存が可能で注射する日にちを自由に選択できるメリットがあります。

 

 

 

◆APS療法

次世代PRPとも呼ばれています。患者さんの血液を採取し、特殊な薬剤を加えて遠心分離にかけます。これによって、抗炎症サイトカインと成長因子を濃縮していきます。最終的に出来上がった薬液(APS)を注射器で膝に注入します。こちらも炎症を抑えることで痛みの緩和を狙います。

 

 

 

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ひざ治療の課題と懸念点

再生医療をはじめとする、ひざの最新治療はまだまだ馴染みの薄い治療なので、色々と疑問点もあるかと思います。我々のグループでは2015年以降、変形性膝関節症に対して、培養幹細胞治療、PRP-FD療法、APS療法を自由診療として行っています。毎年その治療成績を学会発表や論文として報告することによって、専門クリニックの実際や、自由診療における医学的根拠を広めています。そのため患者さまや医療関係者からも多くのご質問をいただくのですが、代表的なものをいくつかご紹介したいと思います。

 

Q.最新治療の安全性は?

症例数はまだまだ少ないので、結論を述べるのは時期尚早と考えます。ただ、私たちの治療実績では、今のところ重篤なリスクは見つかっていません。

 

Q.どこでも受けられる?

「再生医療等安全性確保法」の範疇として位置づけられる治療は、医療計画書を提出し、厚生労働省に受理された医療機関でなければ提供できません。

 

最新治療でも従来の治療でも、どの医療行為も100%安全とは言い切れません。そこで重要なのが、正しい手順で行われているかの確認です。厚生労働省に医療計画書が受理されているということは、それを確認するひとつの目安になります。

 

Q.実際に受けられる(法規制をクリアした)施設はどこ?

厚生労働省は再生医療等安全性確保法で規定される治療を検討する患者さまに対して、医療機関と治療の名称を確認するとともに、医師から十分な説明を受けて納得してから検討するよう促しています。その提供が認められた医療機関と治療方法の詳細については、厚生労働省のホームページに一覧リストが掲載されています。参考にされるのが良いでしょう。

 

Q.費用はどのぐらいかかる?

変形性膝関節症の最新治療には、現状、社会保険や国民健康保険が適用されません。よって全額自費診療で、安くて十数万、高いものだと100万円を超えるものもあります。同じ治療でも、医療機関によって内容や値段が大きく異なるのも自由診療の特徴です。気になる治療には、個別にお問い合わせされることをおすすめします。

 

Q.どのタイミングで考えるべき?

一般的な保存療法を一定期間受けて、それでも改善が認められなければ、なるべく早めに検討されるのが良いでしょう。私たちがとったデータによると、末期まで症状が進行してしまったケースでは、良い結果が出にくくなっています。

 

私の場合は、ご本人の希望を伺いつつ、これまでの治療経過やご状態を確認し、標準治療である手術の長所と短所も比較しつつ、治療の適性を判断させていただいています。

 

Q.誰にでも効果が期待できる?

これは難しい問題で、実のところ、治療を受けた方全員に良好な結果が出ている訳ではありません。ただ、膝のこうした治療を専門に扱っている医療機関であれば、事前の検査である程度精度の高い見立ては可能です。

 

当院では、レントゲンだけでなくMRI検査も受けていただき、改善の可能性について説明をしております。

変形性膝関節症の検査でMRIを行う理由について

 

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生涯現役を目指すなら「最新治療」でリスクヘッジを

立ち上がる、歩くという基本動作はQOLを大きく左右します。この基本動作の中核を担うのが膝関節なので、膝痛では早め早めの対応がリスクヘッジにつながります。だからこそ、40代や50代といったまだまだ元気な、ただし健康にも少し気を使うようになった現役世代のお役に立てばと、今回、変形性膝関節症の最新治療に関する情報提供をさせていただきました。複数の選択肢を、元気な今から検討いただければ幸いです。

 

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大宮ひざ関節症クリニック 院長

■大宮ひざ関節症クリニック https://www.knee-omiya.com/


東京女子医科大学の整形外科や関連病院で20年間にわたり、下肢関節を専門として外来や手術に従事。学会活動や論文の執筆にも精力的に取り組み、これまで80件以上の有益な情報を発表している。
医学博士を取得しており、東京女子医大整形外科の非常勤講師も兼任。日本股関節学会学術評議員も務める。



著者紹介

連載専門医が教える「ひざの痛み」を改善させる基礎知識&最新情報