東京23区内でも利回りが出づらくなり、郊外や地方物件も空室率上昇の問題が本格化するなど、不動産運用の先行きに不安を持つオーナーは多い。本連載では、株式会社フェイスネットワーク代表取締役社長・蜂谷二郎氏に、長いスパンで見た資産形成の手段としての不動産投資の魅力、そこで勝ち残るためのポイントなどを伺っていく。第5回目のテーマは、不動産投資の利益を最大化する「ワンストップサービス」の強みについてである。

建設業界の施工現場に「手抜き」が横行する背景

建築基準法違反の施工不良やマンションの杭打ちデータ偽装、さらに溯れば構造計算書偽装といったように、建物の施工現場の不正がらみのニュースは絶えない。実はただ発覚していないだけで、世の中にはまだまだ数多くの欠陥住宅が潜んでいる恐れもある。

 

 

このような事案がなぜなくならないのか? その根底にあるのは、建設業界が古くから抱えている構造的な問題ではないか、と株式会社フェイスネットワーク代表取締役社長の蜂谷二郎氏は指摘する。

 

株式会社フェイスネットワーク 代表取締役社長・蜂谷二郎氏
株式会社フェイスネットワーク
代表取締役社長・蜂谷二郎氏

「たとえば自社内に施工部門を持たない不動産会社の場合、基本的には設計力がなく、工事の技術やノウハウも有していません。当然、工事におけるコスト管理もできず、設計や施工を工夫して原価を抑えるという発想がありません。そうなると、下請け先である工務店や業者への発注単価を一方的に引き下げてコストカットを図ろうとしがちです」

 

その結果、下請け先は人件費と自社の利益を確保するために、マンパワーを最低限に絞り、工事を進めざるを得ない。人手不足を理由に納期を延ばしてもらうわけにもいかず、意図せずとも「手抜き」が発生しやすい環境となってしまう。

 

「欠陥住宅とまではいかなくても、ちょっとした手抜きが見栄えを大きく変えていくことも少なくありません。同じ築年数でも、新築と遜色のない景観を保っている物件がある一方、老朽化が目立つ物件もあるのは、施工時の手間のかけ方の違いが大きく関係しています。新築してからわずか数年で小さな欠陥が出てくる場合、外観からは把握できない『基礎部分』に問題があるケースが大半です」(蜂谷氏)

 

無論、欠陥が発覚する度に修繕が必要となり、その分だけ物件の実質利回りは低下してしまう。また、物件の管理会社は施工内容まで詳しく把握していない場合が多く、修繕の手配も場当たり的な対応で、建物が抱える問題を抜本的に改善するにはいたらないのが現実である。

 

 

不動産建築・販売の「分業制」がもたらすデメリット

加えて、一部の不動産業者のビジネスが「物件を仕入れて販売し、手数料を得る」という「売り切り御免」が基本となっていることにも問題があるようだ。その端的な例が不動産の業界用語で「お化け札」と呼ばれる超高額物件の販売姿勢である。

 

 

「お化け札」の由来は、めったに遭遇しないような高値がついていることに由来している。それでも人気エリアで相応の賃貸需要が見込める土地なら、割高でも転売がさほど難しくないため、不動産業者はそれを仕入れることにさほどためらいはない。

 

そして、顧客に対してこう耳元で囁いて売り急ぐ。

 

「この機会を逃したら、ここまで好条件の物件はなかなか出てきませんよ」

 

しかし、最終的にその土地を購入して賃貸物件を建てるオーナーにとっては、取得コストが周辺よりも割高な分、実際に期待できる利回りは低くなるという結果につながる。

 

「当社の場合、土地を仕入れて収益性の高い賃貸マンションを建設したうえで、入居者の募集と管理まで一貫して請け負いますので、お客さまと末永くお付き合いしていくことが大前提になります。もちろん、お客さまの利益の最大化を図るうえでも、割高な物件には絶対に手を出しません」(蜂谷氏)

 

なぜ、これまで不動産投資の世界では顧客の利益を最大化するというアプローチが欠けていたのか? 実は、「一貫して請け負っている」という先ほどの蜂谷氏のコメントに大きなヒントが隠されている。

 

これまでの不動産賃貸物件の世界は完全な分業制の構図になっていることが多かった。不動産会社は土地を販売し、設計事務所が設計プランを練り、それに基づいて住宅メーカーや工務店が建物を施工する。

 

そして、完成後は管理会社が管理業務を行い、不動産仲介業者は入居者を探す役割を担い…というように、それぞれの事業者が自社の利益を得ることのみに注力をしていたのである。実は誰も「全体最適」を目指さず、各社が己のための「部分最適」を追求する構図となってきた。

 

「より多くの人が安心して不動産投資に取り組み、期待通りの成果を得るには、どのような環境が求められるのかについて私は考え抜きました。その結果、当社のミッションとして掲げたのは、『賃貸マンション投資におけるあらゆるプロセスをワンストップ(一括)でサポートできる事業パートナーになる』ということでした」(蜂谷氏)

 

従来の分業体制であれば、物件の欠陥をはじめとする何らかのトラブルが発生した場合、責任の所在や情報の共有、意思の疎通などで混乱が生じる恐れがある。トラブルが無事解決にいたっても、各社の利益が上乗せされた報酬を支払うことになり、その分だけオーナーの負担は大きくなる。

 

反対にすべてを一社に託すことが可能であれば、窓口は一本化され、中間コストも大幅にカットされる。さらにいえば、「事業プラン」を作成するプロセスから関わるので、当然ながら内容を熟知しているので、最適な融資を引き出すことも可能になる。

 

物件を長期間保有していれば大規模修繕なども想定されるが、分業体制であればそこでも業者探しから始めなければならない。不動産投資は長期スパンで取り組むものだけに、入口から出口まで同じパートナーのサポートで進めていくメリットは極めて大きいといえよう。

 

 

取材・文/大西洋平 撮影(人物)/永井浩
※本インタビューは、2019年4月23日に収録したものです。