髙松コンストラクショングループ技術研究所の大型実験棟(茨城県つくば市)

急速な人口減少とともに、土地活用の先行きに不安を持つ不動産オーナーが増えている。そんな中、他にはない独自性でオーナーの厚い支持をうけているのが、長期にわたり安定した収益が得られる髙松建設の物件づくりである。本連載では、同社が提案する「世界にたったひとつしかないオリジナル収益物件」の具体的な創り方を紹介する。第3回目のテーマ、「設計・施工」の重要性について、髙松建設東京本店執行役員設計本部長の河野浩一氏、同社東京本店営業第八本部上席本部長の籾木康一氏、同社東京本店工事第三本部工事第四部長の松田晃氏にお話を伺う。

「不動産オーナーの思い」を反映したデザイン

「世界にたったひとつ」しかないオリジナル収益物件。それが高松建設ならではの物件

だ。

 

「複合型マンション」だけでなく、通常の賃貸マンション、オフィスビル、商業ビルなど、同じ設計やデザインのものはひとつとしてない。

 

高松建設 東京本店 執行役員 設計本部長 河野浩一氏
高松建設 東京本店 執行役員
設計本部長 河野浩一氏

「お客さまの土地活用の目的やご要望は十人十色ですし、保有される土地の一つひとつにも大きな違いがあります。ご要望に沿って、その土地のポテンシャルを最大限に引き出す提案をしようと思えば、おのずと千差万別のデザインが生まれるのです」と説明するのは、髙松建設東京本店 執行役員設計本部長の河野浩一氏。

 

髙松建設では約250名の設計担当者たちが、「こんな建物を建てたい」という不動産オーナーの要望に加え、その土地の歴史や魅力など考慮して、最もふさわしいと考えるデザインを丹念に描いていく。それを技術や経験が豊富な上席の設計者が徹底的にチェックし、オーナーとのやり取りを何度も重ねて、満足してもらえるデザインに仕上げるのだという。

 

ひとつとして同じデザインはありませんが、すべてがお客さまのニーズに沿って高い水準を満たしている。それが『髙松デザイン』です」と河野氏は語る。

 

髙松建設では、過去に手掛けた4,000棟を超える収益物件の主要なデザインを、電話帳のように厚いカタログにまとめている。不動産オーナーに、多様なデザインが可能であることを知ってもらい、自分のイメージに近いデザインを見つけ出してもらうためだ。

 

収益物件の増加によって過当競争が進む中、個性的なデザインは、他の物件との差別化を図るうえで大きな力となる。これも、オーナーの不動産事業を成功に導きたいという思いの表れである。

 

内装に統一性を持たせ、抑えられる建築コストは抑える

外観は物件ごとにオリジナリティを追求する一方で、内装については、なるべく統一性を持たせているのが髙松建設が手掛ける建物の特徴である。

 

髙松建設 東京本店 営業第八本部  上席本部長 籾木康一氏
髙松建設 東京本店 営業第八本部
上席本部長 籾木康一氏

「内装の建材や部材はすべてAランクのものを使用していますが、できるだけ同じものを仕入れることで発注単価を下げ、抑えられる建設コストは抑えるようにしています。予算の掛け方にメリハリをつけて、物件の収益力を高めるように工夫を凝らしているのです」と同社東京本店 営業第八本部上席本部長の籾木康一氏は説明する。

 

髙松建設は、東京銀座に「銀座インテリア夢工房」という実物確認型のショールームを設けており、さまざまなテーマによるインテリアの組み合わせを比較検討できる。統一性を持たせているとは言っても、オーナーの好みや流行の変化に応じて、内装もかなり柔軟に選べるようになっている。

 

また、外観はさまざまでも、仕上げについては統一されたクオリティを実現しているのが髙松建設の建物の特徴だ。同社の施工部門には、すべての物件に適用される「施工マニュアル」があり、どの建物も一定のクオリティが保たれるように施工されている。

 

髙松建設 東京本店 工事第三本部 工事第四部長 松田晃氏
髙松建設 東京本店 工事第三本部
工事第四部長 松田晃氏

「他社の場合、同じ設計の物件でも、現場監督が異なると建物の仕上がりに違いが出るという話を聞いたことがあります。当社では、一つひとつの建物の品質にばらつきが出ないように、統一されたマニュアルで施工の手順などを徹底管理しているのです」と語るのは、髙松建設東京本店 工事第三本部工事第四部長の松田晃氏である。

 

長期にわたって安定的な収益を得るためには、物件そのものの品質が重要であることは言うまでもない。オリジナリティだけでなく、高いクオリティも兼ね備えている点が、髙松建設がつくる建物の価値である。

 

ちなみに髙松建設は、筑波研究学園都市(茨城県つくば市)に、建築や土木などの技術を研究開発する「髙松建設 技術研究所」を設けている。ここで開発された新工法や最新技術が現場で次々と応用され、物件のクオリティ向上を促しているようだ。

 

取材・文/渡辺賢一 撮影/永井浩(人物)
※本インタビューは、2018年11月30日に収録したものです。